2011年11月29日

超高性能住宅用インバーターエアコン (生活体験6)


大都市の片道2車線以上の道路。
時速60キロのスピードと、時速30キロのスピードで自動車が走った場合、どちらの方がガソリンの使用量が少ないか・・・・という実験を何ヶ月か前のテレビでやっていた。
私は、当然30キロのスピードの方の燃費が少なくて済むと考えた。
ところが結果は逆。 時速60キロの方が少なかった。

何故かと言うと、スピードが遅い時速30キロ走行だと赤信号に捕まる確率が高くなる。
このため、常にアイドリング運転と急発進を繰り返さねばならない。
急発進の回数が時速60キロの場合に比べて格段に多くなる。
これが大都会の一般道路ではなく、赤信号のない高速道路での50キロ運転と100キロ運転だと、100キロ運転の方が時間は早いが エネルギーは余分にかかる。
これに対して信号の多い大都市でのノロノロ運転では、時間もかかるし燃費も嵩む。
したがって、制限速度の最高速度で走った方がもっとも経済的だと教わった。

20年前までは、毎年のようにアメリカやカナダを訪れていた。
初期はツーバィフォーの合理的な生産・流通・販売・職人教育システムを究明するためであり、後半はカナダのR-2000住宅という当時では世界で一番科学された高気密・高断熱の理論とシステムを学ぶためであった。
季節が春とか秋だったらよい。
冬とか夏の場合は、どのホテルに泊まっても、またレンタカーでモーテルを選んでも、一晩中 空調機の騒音に悩ませられた。
カナダのロッキー山脈の山麓のホテルの場合は、温水パネルの輻射暖房だったのでホコリも少なく安眠が出来た。
しかし、バンクーバーをはじめとした大都市のホテルは、冬の暖房以外に夏の冷房運転が必要なためにいずれもエアコン方式。一晩中騒音が鳴り響いていた。
しかも東海岸の冬は日本の表日本と同様に超乾燥。科学繊維の厚いカーペットの廊下に立ってドアのノブに触れると指先に静電気が走り、思わず声を出さされる。

世界で、一番早くインバーターエアコンを開発し、その普及率が100%というのは地球上日本だけ。
インバーターというのは周波数変換装置のことで、電圧、電流、周波数をコントロールする技術。
エアコンの心臓部のヒートポンプを動かすには、インバーター以前はON、OFFしかなかった。
しかし、現在ではコンプレッサー (圧縮機) やファンを動かすモーターの回転数はインバーターで細かく制御。温度差がある時は高速運転し、温度が一定になると低速運転。
しかもCOPが4〜6というヒートポンプが採用されており、日本のエアコンは世界一省エネ。
10年前にダイキンの工博がアメリカの需要開拓に出発する直前に、いろいろ情報交換をさせてもらったが、インバーターエアコンの普及は下記の図のとおりで、世界的にはまだまだ低い。
アメリカのホテルや住宅のセントラル空調換気システムで、その後どれだけインバーターエアコンが普及したかは確かめていない。
いまでも、夏と冬の旅行では 悩ませられているかも知れない。

http://www.daikin.co.jp/csr/information/lecture/act01.html

さて、何が言いたいのかというと、超高気密住宅では、先に書いたようにインバーターエアコンが低速運転というよりも、ほとんど動いていない。20分休んで5分運転というような状態をよく見かける。
だとしたら、例えは8kWの機種ではなく、2kWの機種にして、より運転時間を長くした方が得ではないかという素人の発想。
赤信号で停車し、急発進を繰り返すのではなく、トロトロと走り続ける方が省エネになるのではないかという思いつき。

超高気密住宅用インバーターエアコンとして、この燃費比較実験を メーカーにお願いしたくなってきた。


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クレームレス・・・・冬期加湿の最大メリット (生活体験5)


S邸では、今年の夏までの約4年間に生じたクレームは4つしかない。
1つは、防火偽装による一部サッシの交換。
2つは、全熱交によるセントラル空調換気システムの夏期の除湿力の不足。
3つは10センチと厚い無垢のカリン材天板の収縮により生じた隙間処理。
4つは、真っ白のウールのカーペットの内壁際に生じた若干の汚れ。

まず、1点はメーカーが謝りにきて、「補修工事をさせて欲しい」 と申し込んだが、現時点では隣家との距離も十分に空いており、類焼の心配はほとんどなく、Sさんの方から当面の補修工事を断った。つまり、クレームにはならなかった。

2点は、初めての試験採用だったので、新規にアメニティビルトイン空調機2台を新設し、ダクト工事と新しいドレーン配管などで費用はかかったが、かなりの部分をメーカー側が負担してくれ、Sさんの負担は20万円で済んだ。これはシステムに対する改善点指摘という面が強い。

3点の無垢材の収縮による処理は、コーキングによって簡単に終わった。 4点のカーペットの若干の汚れは、原因を追及中。

このようにS邸では、4年間にビルダーに対する実質的なクレームは、たったの2件しか発生していない。
地場ビルダーや施主は、新築してから3年間に多くのクレームが発生し、手直し工事をした経験を持っている。
とくに、乾燥する冬期に集中的に発生する。

●無垢の構造材を使った木軸の場合は、構造材が収縮する「ギー」という木鳴き音。
●根太や大引きなど、加圧注入防蟻材の収縮による床鳴り。
●階段のきしみ音。
●和室をはじめとした造作材の隙間の発生。
●中でも、ドア枠などのトメ部分のズレが夏期になっても修正されない。
●無垢の床柱の割れ。
●無垢の床フロアー材のサネの隙間が大きくなり、ゴミが溜まり易い。
●クロスあるいは塗り壁と造作材との隙間の発生。
●とくに入隅部でのクロスとクロス、あるいは塗り壁の隙間発生。
●マグサの狂いによるサッシ、ドアの建付け不良。
●建具や家具の開き戸の狂いによる調節の必要。
●結露やダニ、カビの発生。
●その他、雨漏り、各種設備機器類の不具合、性能に対する疑義など。

かつて私も、こうしたクレーム処理で飛び回っていた。
クレームの時こそ、施主の本音に接するチャンスであり、嫌だと感じたことはなくむしろ喜んで出かけた。しかし、藤和時代の最後の頃は 私の仕事の60%がクレーム対策となり、営業マンによる歩合制度の欠陥を痛いほど思い知らされた。
このため、ハーティホームでは営業マンを全廃した。そのことで、クレームは画期的に少なくなった。だが、私の仕事の1/3はクレームと、クレームを先取りして事前に施主と現場を訪問して回ることに使った。残りの1/3は新しい技術のリサーチ&開発であり、1/3はネットによる需要開拓。

その経験に照らしても、あまりにもS邸のクレームは少なすぎる。
そして、先に挙げた13点のクレームをよく見ると、90%は 「湿度」 に関係していることを再確認させられる。
如何に工事中に現場を徹底的に管理しても、完成後の湿度管理が出来ない住宅だと、どうしても工事部やアフター部の負担が増える。
「住宅産業はクレーム産業である ! 」 などと開き直っている向きが多い。
前向きの負担ならよい。しかし、後ろ向きの負担は生産性を落とすだけ。
そして、利益が薄くなって前向きの投資が出来なくなる。
湿度管理に対する理解力と技術力の無さと日本の気象条件が生んでいる悲劇。

S邸の4年間弱の実質的なクレームが、たったの2件しかなかったという事実を、じっくり考えていただきたい。


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業務用デシカの夏期の除湿 (生活体験4)


S邸の夏期の除湿については、すでにフォーラム欄で報告しましたが、念のために簡単に書き残したいと思います。

S邸に採用したのは、あくまでも市販されている業務用デシカ500m3。
したがって、新製品の250m3でもなく、まして家庭用デシカ250m3の試作品でもありません。
したがって、性能値そのものは公開されていたものを再確認したということであって、ランニングコスト面以外は、それほど新規性はありません。

今年の7月、8月とも、S邸の平均室温は27〜28℃で、相対湿度は40%前後。絶対湿度は9.0〜9.2グラムというところ。
非常に安定しています。
温度、湿度とも、鉛筆で横線を2本、真っ直ぐに引いたよう。

今年の夏、2度ばかりS邸を訪れましたが、外がカンカン照りであっても、蒸し暑くても、玄関に入ると汗がスーツと引きました。
それこそ、カラッとしていて ランラン気分。まさに軽井沢の別荘なみ。
小一時間も居ると、首周りもスカーッとしてきて、ジトジト感は1つもなし。
一日中この状態ですから、安眠が出来ます。
ストレスも吹き飛びます。
相対湿度が40%だと、室温は29〜30℃でも十分に快適なはず。
最初は、「もったいない」 という気がしていましたが、二時間も居ると、身体が快適さに慣れて、それが当たり前に。
ダイキンの報告書には「夏期の除湿については問題なし」 と書かれていましたが、その通り。

ついでに関心があったのは、5月から6月にかけての梅雨どき。
5月上旬には相対湿度が50%を突破し、最高55%にまで達していました。
しかし、温度を見ると22℃。絶対湿度は9.0グラムと7、8月の最低値と同じ。
したがって、中間期も、梅雨時も問題なし。

実験的に、相対湿度35%で、30〜32℃での生活体験をしてみたいと思いましたが、これは次の課題として残しておくことにしましょう。


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冬期の加湿 (生活体験3)


冬の加湿については、全熱交のベンティエールと、業務用デシカの2例をS邸で経験。
ベンティエールの場合は、S邸では全熱交以外に透湿膜加湿器を備えていた。(この詳細については07年12月23日付の〈空調換気・3〉を参照)
透湿膜は水質が悪いと、日に一度水を取り換える時に、電磁弁にカルキなどが挟まって水が流れ放題になるアクシデントがあった。
しかし、S邸では水を濾過する特別なシステムを地下に設けたので、アクシデントの心配は皆無。
水道水でも大変に美味。
そして、相対湿度は自在に変えられた。50%でも60%でも可能であった。
ところが、実態は45%以上にすることが出来なかった。

サッシに関しては、当時はPVCが準防火認定をとっていたので、カネカが新開発した真空断熱材を使ったU値が1.28Wのサッシをメインに採用した。道路に面した南面はそれで良かった。
しかし、西面や北面で隣地に接する2階和室の窓などには1.98Wの網入りを使わざるを得なかった。
このため、Q値が0.78Wで上がる計画だったものが0.9Wに後退せざるを得なかった。(詳細は07年8月9日の〈サッシ3〉を参照)
この準防火地域での苦労は、PVCサッシやアルプラの耐火偽装事件でさらに厳しくなってきている。
日本のサッシメーカーの無責任さと怠慢さには、呆れてしまう。

そのような事情で、1.98Wのサッシをかなり用いざるを得なかった。
このために、冬期は45%以上に湿度を上げると、障子を閉めたり、厚手のカーテンを引くと どうしても狭い空間部の温度低下で、サッシの下部に結露が生じてしまう。
冬期、結露の心配がなく相対湿度を50%にするには、どうしても1.0Wを切る高性能サッシが欲しい。
そうすれば、50%を間違いなく維持出来るので、ウィルスは死滅する。
つまり、家の中に居ると、風邪に罹らない住宅が得られる。
これからの高齢化社会を考えると、22℃で相対湿度が50%の住宅を供給してゆく責任がビルダーにはある。 家づくりには、それぐらいの社会的な責任がある。
甘く考えている人は、去っていただくしかない。 
それが出来てこそプロ。
しかし準防火地域では、超一流のプロでも、簡単にはこのハードルを越すことが出来ない。
大手のサッシメーカーが、揃ってサボっているから。

しからば、透湿膜加湿器を使わなかった場合はどうか。
これについてはY.S邸での経験が参考になる。
Y.S邸の初年度の冬は、相対湿度が平均して40%を切ることが多かった。
「来年は透湿膜の簡易加湿器を買わねばならないだろう」 とご夫妻で話あっていた。
しかし、2年度からは相対湿度がアベレージで40%になり、簡易加湿器の購入の話はペンデングになったまま。
Y.S邸では、今年の春までの冬期は、24℃程度で生活していたはず。
「今年は節電ということで22℃での生活を考えています」 と奥さん。
温度が2℃下がると相対湿度は7%近く増える。したがって、ウィルス・レスとはいかないまでも、かなりな快適生活が送れるだろう。

そして、昨年から業務用デシカに切り替えたS邸は、透湿膜の使用をやめてデシカだけとした。
冬期の相対湿度は22℃で、平均の相対湿度は40%を超えているが、40%以下の日が2割もあった。
したがって、ダイキン報告書のまとめでは、「冬期の加湿力は若干不足気味」 と書かれている。

しかし、この報告書を鵜呑みにするわけにはゆかない。
なぜなら、S邸は約85坪と大きく、育ち盛りのお子さんは2人ともアメリカ留学中。
大きな家に2人だから、内部発湿がものすごく少ない。
しかも、ご主人は企業のトップだから忙しい。 
奥さんも医療関連の免許を取得するため出かけることが多く、内部発湿がゼロという時間帯も多かった。
このため、ダイキンの「まとめ」とは異なり、私の判断では一般的な35〜40坪の住宅の場合だと4人家族の場合は軽く50%を突破するし、2人だけの生活でも、小さな家だと50%近い相対湿度が確保されると報告書を読んだ。
この読みが正しいかどうかは、これから集積さけるデータが教えてくれるだろう。


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間欠運転か連続運転か (生活体験2)


Y.S邸では今年の夏、「節電」 実験を行った。ご存じのようにY.S邸のQ値はS邸と同様に0.9W。
この高性能住宅で、「昼はエアコンを止めての生活」 と 「設定温度をやや高めにして一日中エアコンをつけ放し生活」 との消費電力の比較をしてみた。
そしたら、ほとんど差がなかった。

エアコンの間欠運転が得か、連続が得かの議論。
気密性能も熱損失性能も悪い 次世代省エネ基準程度の住宅の壁掛けエアコンの場合は、たしかに止めている時間が長ければ長いほど節電になる。 夜中とか日中はエアコンをつけずに我慢する方が家計に優しく、国にも貢献しているような気になる。 
その変わりダニやカビが発生して、お子さんがアトピー症疾患になり、余分な医療費を払わざるを得なくなる。 冬期の低温・低湿度は、子どもだけでなく大人にとってもカゼの元。とくに年配者がいる家庭では負担が大きくなる。
したかって、壁掛けエアコンを止めて節電をはかることが、必ずしも家計に優しい行為とは言えない。
夏は熱中症で死ぬ場合さえある。

一方のセントラル空調換気の場合は、22年前にR-2000住宅の第1号モデルが立川に誕生した時に、夏と冬で夜間にエアコンを付けっ放しにしていた時と 消した時の消費電力量をダイキンに測定してもらった。本当は昼もやりたかったが、展示場は毎日開いているのでムリ。どうしても夜間だけの測定となった。
R-2000住宅で、Q値は1.4Wに過ぎなかったが、夏も冬も夜間エアコンを止めた時と、つけ放しではほとんど差がなかった。
これは、夜間エアコンを止めると室温が大きく変わる。それを元に戻すのに、朝になってエアコンは強運転をする。その強運転に大きな電気代がかかる。
これに対して、エアコンを止めない場合は、温度が上下する度に、思い出したように時折運転するだけだから、それほど電気代がかからない。

私なども、「間欠運転か連続運転か」 などと言うことがある。
たしかに性能の悪い住宅の壁掛個別エアコンの場合は、ONにすると文字通りの連続運転。 休ませるにはOFFにするしかない。
このON、OFF状態を指して、間欠運転と称してきたと思う。
ところが、高性能住宅のセントラル空調システムにあっては、暖房も冷房も、常に間欠運転。
確かに、スィッチはONにしたまま。
ところが、空調機は5分間運転して10分間休むということを繰り返している。
常に間欠運転しかやっていない。
ただ、スィッチを切らないから私どもは 「高性能住宅の空調換気は、連続運転が原則です」 などと施主に説明してきた。
考えてみたら、この説明は大間違い。
「高性能住宅では、ONのままにしておいても、機械が勝手に判断して間欠運転してくれます」 というのが正しい。
そして、「夜間や半日程度の外出の時は、設定温度を1℃程度変えて下さい。夏は高く、冬は低くして下さい。 また2〜3日家を空ける時はOFFにせず、設定温度を2〜3℃変えて下さい。その方が、家にとっても住人にとってもハッピーです」 と言うべき。

なお、この高性能住宅のセントラル空調では、実質的に間欠運転しかしていないという事実。 それは、当たり前のことだと空調業界も私も考えてきた。
ところが、今年の夏のS邸での測定で、今までの業界の常識を覆す大問題を内蔵していることを気付かせてくれた。
驚くほどの大発見があったということ。
これは、後日詳しく検証したい。


訂正
前回、「必要なことは、夏の顕熱の熱交換ではない」 と書きましたが、これは 「潜熱」 の間違いです。お詫びして訂正いたします。
夏は、潜熱をいくら熱交してもたいした意味がありません。 70%という相対湿度を半減させる除湿こそがポイントだという当たり前のこと。それを、エンタルピ講義の理解不足で見失っていたという体たらく。反省しています。


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2011年11月11日

全熱交に対する過信 (生活体験1)


今から4年ぐらい前のことだったと思う。
名古屋地域で自動車関連企業に勤めているTさんから、自宅を建てるにあたって「名古屋での夏期の除加湿の必要性」を示すグラフを送って頂いた。

名古屋での除加湿量.pdf

図の中の真っ赤な線が必要除加湿量。
この図を見て、「顕熱交ではダメ。日本の夏期は潜熱が多い。つまり全熱交でエンタルピを処理しなければならない」と言っていたプロの言葉が浮かんできた。
聞きかじりの生半可な知識しか持っていない者の哀しさ。その言葉に靡いてしまった。

それまでは、カナダの技術屋さんが総力を上げてまとめた「R-2000住宅の教え」に従って、もっぱら顕熱交を採用してきた。
ダーディゾーンから24時間排気することで、確かに室内の空気質が清潔に保たれる。
排気は、トイレは20m3が2ヶ所で40m3。 浴室が40〜50m3。 台所が40〜50m3とすると、これだけで130m3。
40坪の住宅の必要換気量は約165m3。とすると残りの35m3の排気はシューズルーム、ウォークインクロゼット、あるいは犬や猫のトイレ室に当てた。
私は、この排気計画は今でも正しいと確信している。
というのは、カナダのこの計画を上回るだけの研究や理論が発表されていない。もし、カナダ以上の優れた排気システムに対する提案があれば、いつでも採用し、皆さんに積極的に推奨してゆきたいと考えています。

そんな時、一条工務店の仕様書発注で、ダイキンが全熱交で熱回収率90%の「ロスガード90」を開発した。一条はどこまでも換気システムとしてこれを採用。各室への分岐装置を自社開発し、100φのダクトも自分の手で用意していた。ただ、浴室などは24時間排気ではなく局所間欠運転。これだとどうしても換気計画は絵に書いたようにはならない。ただ、一条は浴室、トイレ、廊下に至るまで全て床暖房しており、24時間排気がなくても冬期にヒートショック問題を起こす心配はない。
私は一条の換気システムには魅力を感じなかった。カナダの原則を守っていないから・・・。
ただ、ダイキンの90%熱回収出来る全熱交 (ダイキンではベンティエールと呼称) の実力を試してみたかった。
そこで、ダイキンから一条へ話をつけてもらい、どこまでも「セントラル空調換気システム」の一貫としてこの全熱交を採用し、その実績データは一条にも公開するという条件で3台ばかり提供してもらった。

全熱交の採用では、問題なる大きな点が2つあった。
1つは全熱交のエレメント。これは和紙系統で、浴室などから排気される湿度には弱いという懸念。このため、工場の技術屋さんはガンとして反対する。
たしかに浴室の排気をそのままダイレクトにエレメントに送ると問題が起こる可能性がある。
しかし、浴室からの排気は40m3。全体の165m3の排気の24%に過ぎない。全部の排気量を混ぜてエレメントへ送れば、工場での机上計算で心配していることは避けられるのではないか。
しかも、24時間連続機械運転が建築基準法で義務付けられている。一時的にエレメントに湿気が当たっても、直ぐ乾いて問題を起こすことはほとんど考えられないのでは・・・。

もう1つは、潜熱まで交換するので匂いや細菌が導入される新鮮空気に移転する怖れ。
これについては、ダイキンエアテクノ東京からの提案で、熱交換に入る直前の戻りダクトの中に光触媒を介入させた。
この結果、設置してから丸3年以上経過しているが、セントラル空調換気システムにあっては、カナダの給排気計画に基づいて光触媒を介入させた全熱交システムは、見事に機能している。
一番問題だった匂いについては、全く問題がない。
ダイキンには、「匂いのソムリエ」 が4人いる。
しかし、ソムリエを煩わすほどのクレームは一度も発生していない。匂いの移転がない以上は、細菌の移転についても心配がないということ。
また、エレメントの状態も現時点では問題がない。これがどこまで続くかは経験値がないので確言は出来ないが、あまり心配することはないらしい。

そして、2008年の2月19日に名古屋のTさんをS邸に案内している。
そして、Tさんは08年3月10日付の「住まい心地 2」で貴重な意見を寄せている。
そのことを、すっかり失念していた。
読み返してみて、冬期のS邸に対するTさんの理解力の深さに改めて感動した。
S邸の住まい心地について、私は完全に傍観していたわけではなかった。
ただ、それ以降に起こった問題に対するホローがなかった。
そのいくつかを、「生活体験」 という形で、数回に分けて記載したい。

最初に起こった大問題は 夏期の除湿。
今までの記述で、顕熱交から全熱交への転換は、条件設定さえ間違わない限り可能だとうことが分かってきた。
しかし、「全熱交にすると夏期の除湿処理がうまくゆくのではないか」 という期待はものの見事に裏切られた。
冬期は全熱交にしたことで若干効果があるが、夏期は全くと言ってよいほど効果がないことが分かってきた。
必要なことは、夏の顕熱の熱交換ではない。 湿度の排出 !!
つまり、室内の湿度を如何に外部に排出し、室内の湿度を低くするかが問題。

夏期の除湿には全熱交はほとんど役に立たないことが、S邸でもY.S邸でも判明した。
具体的には、室内の設定温度を25℃にしないと湿度が多すぎて快適ではない。
何度も指摘していることだが、人々は温度が26℃を突破した時点で、初めて湿度の存在を感じる。 
蒸し暑さを感じる。
相対湿度が問題になるのは、室温が26℃を超えた時。したがって、相対湿度を感じなくさせるには室温を25℃に設定しなくてはならない。S邸でもY.S邸でも、こんな状態で全熱交の最初の夏を迎えてしまった。
当然のこととして冷房運転時間が長くなるし、全体に冷え過ぎて不快で身体によくない。
特に女性にとっては25℃の温度は、快適どころか苦痛。
S邸では、当初の除加湿システムでの快適さを実感していたから、我慢の限界を超えるものだった。

全熱交の夏期の潜熱の熱交換機能を過信した天罰が下された。
全熱交だから、排熱ドライ機能を持った空調機は不要と考えていた私とダイキンエアテクノと専門工事業者の脇の甘さ。
これはとんでもない間違い。
だが、新しいことにトライする度に起こるトライ&エラーの1つとして許してもらうしかない。
このため、2008年の8月には、S邸、Y.S邸とも空調機をアメニティビルトインに交換する作業を急遽行った。
そして、やっと27℃での生活が得られた。
しかし、28℃以上での快適生活は、全熱交換機では得られていない。

私が、「全熱交よ さようなら」 と叫んだのは、この夏期の失敗からの猛反省の言葉。
冬期に関しては、全熱交はそれなりの効果がある。
しかし、トイレや浴室からの24時間排気をしない全熱交は、実質的な熱回収率は低く、換気計画がメチャクチャ。
これなら、顕熱交の方がはるかに優れていると、現時点で断言したい。


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