2007年06月10日

ダクト設計 (確認5)


確認申請を出す前に、必ず施主と空調換気メーカーと工事業者を含めてチェックを済ませておかなければならないのがダクト設計。
これは構造設計と同等か、場合によってはそれ以上に重要項目でしかも難解。

若い設計士がお客と練りに練ってまとめ上げたプラン。
例えばスパンが3間以上飛んでいて、どうしても構造的に処理出来ないような場合以外は、なんとか智慧を絞って収めるということを、ビルダー仲間のベテラン猛者達がこなしてきている。
大手メーカー場合は、最初から一定の約束事の規格範囲内での設計しか許していない。
しかし、高性能とフリープランを謳うビルダーの場合は、ベテランのトップがなんとか構造的に処理する手法を心得ている。いよいよ困った時は、お互いに経験と情報を交換して究極の収まりを発見。したがって、かなり自由奔放に若手に設計をさせている。
それが、技術系ビルダーの魅力。
ただし、構造的に処理できるベテランが不在のビルダーも多いから要注意。

この構造的な収まり以上に難しいのがダクト設計。
第3種換気だとダクトは排気の一方向だけでよく、しかも径が細い。
そんなにムリしなくても、収まってくれる。
ところがセントラル空調換気システムの場合は径が太く、しかも往復。最初にプランをする段階からダクトのことを考慮しておかないと、簡単に収まってはくれない。

最悪の例が、住宅のプランナー側も、空調換気メーカーの設計担当側の双方が、セントラル空調換気システムについて経験が不足している場合。
ハーティホームの場合は、セントラル空調換気システムを基本としていた。したがってプランナーはそれなりに対応力を持っていた。
そして、空調換気メーカーの担当者も工事業者も手慣れていて、問題があれば事前にチェックして報告してくれた。
このため、すぐに次善策を用意し、工事の着手前に問題が解決済み。

しかし、大手高級住宅メーカーの場合でも、セントラル空調換気システムの比率は極端に少ない。下請けの設計事務所ではほとんど経験していないところもある。また、空調換気メーカーの地方支社では、これまたセントラル空調換気システムの経験がないところが多い。まして、手慣れた工事業者が存在しない場合がほとんど。
こんなところに依頼すると、往々に欠陥工事となる。
足立博氏が「住宅設備・家電が危ない」(エクスナレッジ刊)の中で、何社かのセントラル空調換気システムを装備した住宅を調査して警鐘を鳴らしたのは正解。決して間違ってはいない。
ただ「すべてが欠陥だ」と受けとれる文章だったので厳重抗議。

S邸の場合、私が最初にプランをした折、ダクト系統図を含めた空調換気システムの配置図を添付しておいた。
このため、Iさんが全面的に平面プランを変更した時も、ダクト系統図が頭の中に入っていたから、多少の手直しで収めることが出来た。
しかし、問題はその後に発生した。
メーカーの設計担当者は、セントラル空調換気システムの実務経験がなかった。
そのために完成した確認申請用設計図書に、マニュアルどおり忠実にダクトを配した。
その図面を見て施主とマイスターハウスが慌てた。
「こんなにあちこちにダクトスペースを取らされたのでは生活出来ない。折角のプランが台無しになってしまう!」

S邸の場合は、ベテランの工事業者の意見も斟酌して直ちに図面の訂正が行われ、無事確認申請に間にあった。
そして、日本でセントラル空調換気システムが普及しない最大の原因は「住宅業者と空調メーカーの双方に、実務に精通したベテラン技術者が不在である」という事実を、再認識させられた。
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2007年06月08日

外断熱と防火 (確認4)


確認申請を提出した時点では、まだ外壁断熱の最終仕様が決まっていなかった。

R-2000住宅だったら、206材(14cm厚)を用い、高性能グラスウールかウレタン現場発泡を充填すればことが足りる。
ところがパッシブハウスとなると、K値で0.22W以上の性能が欲しい。
となれば、206材ではなく208材ないしは210材を使うか、あるいは206材の外側に40mm程度の外断熱を付加しなければならない。
どちらが価格面、作業面、性能面から考えてベターなのか。
細かい積算を行うまでには至っていなかった。

先行していた石田ホームは、当初206材の外側に40mmの露断という硬質のグラスウールの採用を検討していた。住宅がそれほど密に建て込んでいない地方都市では、外断熱に硬質のグラスウールを使うのは一つの賢明な選択。
しかし、東京で外断熱としてプラスチック系の断熱材やグラスウールを使うという発想は、山口社長にも私にも露ほどもなかった。

札幌でプラスチック系やグラスウールを外断熱として用い、類焼で被害が続出しているという話をかなり以前から、複数の人々から聞いていた。
また、山口社長は消防の人から、プラスチック系の外断熱は「ある時点が過ぎたらフラッシュオーバー現象のように燃え上がる。したがって怖くてうっかり近づけない」という話を聞いている。真偽は確かめていないが、ウソではあるまい。

なぜなら、密集地で隣家が火災になったとき、外壁の表面温度は30分で840℃となるといわれている。
プラスチック系資材の発火点は、ほとんどが130℃程度のはず。
直ぐに消防車がきて、20分以内で消火してくれればいい。被害は屋根のルーフィングの瞬時の火の走りだけでとどまってくれよう。
しかし、東京は直下型の震度7の地震が、それほど遠くない将来に確実に発生すると言われている。震度7がきたとき、消防車が20分以内にきてくれる保証はない。

設計士・西方里見氏のブログ、2006年5月26日付で「石油系外断熱の火災」として秋田市で一家4人が焼死した火災を取り上げている。
使われていた外断熱材は燃焼性が低いと定評のあるNフォーム。それが、秋田魁新報の写真を見るとけたたましい炎上ぶり。この記事からは火災原因が特定出来ない。外断熱よりも内装の不燃化に落ち度があったはずだと私は推測する。しかし、この写真を見たらNフォームでさえこの有様だから、石油系の断熱材を外断熱に使う蛮勇は完全に失せてしまう。(西方氏のブログは私のHPのリンク先から参照されたし)

断っておくが、山口社長も私も、認定をとっているシステムを中傷するとか批判しようとしているのでは毛頭ない。
国が認定したのだから、万が一のことがあれば国に責任がある。システムを認定した側の問題であって、個々の企業の責任問題ではない。まして、そのシステムを採用した工務店が責任を問われる筋合いは一切ない。
国は「天災だから…」と逃げるかもしれない。だが、設備機器までを含めてすべてに10年保証をしているマイスターハウスの場合は、「国の責任ですから」と言い逃れをしようとは考えていない。

したがって、外断熱を採用するとなると、防火認定をとっているドイツ生まれのエコボードぐらいしかなくなる。しかし、これはモルタル仕上げを前提にしており、タイル仕上げのS邸だと外壁の固持力が大問題。やはり採用出来ない。

石田ホームが208でゆくと決めた。
「それしかないのか…」と、Sさんを含めて話し合っていた。
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2007年06月06日

準防用サッシ (確認3)


東京で高気密高断熱住宅をやっていて、一番困るのが準防地域でのサッシ。
最初の頃、PVCサッシは防火認定を取っていなかった。
このため泣く泣く防火シャッターを付けた。
ペアガラスのPVCサッシにプラス防火シャッターだから、2倍以上の高価なものにならざるを得なかった。
あるいは、薄いアルミで外側をオーバーレイした輸入のウッドサッシの採用。
ペンキを塗る手間を省くためにアルミをオーバーレイしてあるだけなのだが、こちらは許された。しかし水密性能が悪く、台風の度に泣かされた。

ペラペラなアルミに網入ガラスさえ入っておれば堂々と認可される。
ガラスの入る前のアルミ枠はグニャグニャ。
ガラスが入ってようやく格好が付く。それでもアルミというだけで通る。
実際のサッシでの防火性能比較試験を、公的機関でやってもらいたい。
アルミ枠に網入ガラスをいれたもの。
丈夫なPVCの枠に網入のペアガラスをいれたもの。
丈夫なウッド枠に網入のペアガラスを入れたもの。

昔は準防地域用に使えるサッシがなかった。
だから、妥協してアルミサッシを認めざるを得なかったのだと思う。
しかし世の中、日進月歩。
比較してみて、薄っぺらなアルミよりはPVCとかウッドサッシの方が、防火性能が良かったなら基準を変えるべき。それが、構造改革。
業者のためではない。消費者と地球の温暖化に少しでも貢献するため。
ところがサッシメーカーと建設省所管の社団の古い体質が、この構造改革を拒んでいる。

(社)日本サッシ協会がある。
30年前はスチールサッシ全盛時代。各地には中小サッシメーカーが群雄割拠していた。
それがアルミサッシの普及で大手メーカーに淘汰され、企業数が激減している。そして大手メーカーはビル用もこなしている。このため(社)カーテンウォール・防火開口部協会が同居している。というか同根だから同棲している。
理事長は不二サッシ。
副理事長にはお馴染みのトステム、新日軽、三協立山、YKKのほかに中小から2社選ばれている。かつての名門三機工業は姿を消し、アルミの大手企業で独占している。
そして、防火開口部協会ということもあって、三和シャッター、文化シャッター、旭硝子、セントラル硝子、日本板硝子が理事に名を連ねている。
そして、理事の中にやっとカネカとシャノンの名前を発見することが出来る。
もちろんウッドサッシメーカーの姿は影も形もない。

欧米では省エネの面から住宅用はPVCとウッドサッシが主流になってきている。ドレーキップという嬉しい機能の開発もある。
自動車も、クーラーも、エコキュートも、経済産業省が大胆にトップランナー方式を採用してから、省エネ性能が飛躍的に向上した。

しかし、旧態依然のサッシ協会はアルミメーカーの都合を最優先に考え、断熱サッシはアルミ、PVC、ウッドの区別なく一律にK値を「2.33W以下」としか表示していない。
これを見て「アルプラとウッドサッシは性能が一緒なの。だったら安いアルプラでいいわ」と選び、後で結露が生じて泣きを入れている消費者が多い。馬鹿を絵に描いたような話。
国土交通省所管の協会では、K値1.0Wを切り、準防地域にも採用出来るトップランナーによる製品開発が期待出来ない。スペーシアというすごい開発がありながら…。

完全に保守化しているサッシ業界を変えるのはトップランナー方式しかない。
昔の東洋サッシのような元気な革命児が、出現してくれなくては困る…。本当に困る。
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2007年06月04日

構造設計 (確認2)


S邸の場合、風致申請が2月16日で、認可が降りたのが3月20日。
約1ヶ月というところ。
風致に関しては事前に調査をし、担当者と打ち合わせを綿密に行っていたので何一つ問題がなかった。

そして、3月22日に確認申請を提出したら、構造でひっかかった。
7坪の地下室があるので、コンクリートと木造との異構造になるので、構造計算書を提出して欲しいとの注文。
S邸から1キロしか離れていない同じ町名の街で、数年前に地下室をもつR-2000住宅を建てている。その時は、異工法だからと構造計算書の提出は求められなかった。
西東京から横浜方面にかけては丘陵地が多く、ほとんどがアップダウンのある開発地。したがって多くの住宅が地下室ないしは地下車庫を持っている。しかし、異工法だからと計算書を求められたことはない。

木造で構造計算書が必要なのは、小屋裏3階を含めた3階建て。
これにはきちんと構造計算書を添えている。
しかし、地下室があるからと2階建てで構造計算を求めるのはどうか…。
間口が狭く耐力壁がギリギリとか、開口部の比率が大きいとか、大きな吹き抜けがある場合ならいざ知らず、要所に十分な耐力壁が配されていて、震度7でもお釣りがくる。
そんな頑丈な構造駆体を持っているのに、7坪の地下室で構造計算書を求めるのは馬鹿げている。こんなことをやるから、住宅業者が役所離れを起こす。
つまり役所の横柄さが、民間確認機関を間接的に応援しているのだ…。

担当者は黙って指示に従ったが、私なら徹底的に役人とやりあったであろう。
別に役所にケチをつけるとか喧嘩を売るのが目的ではない。
申請された当該住宅を見て、瞬時に構造的に安全であるかどうかを見抜く力を、審査のプロとして養って欲しいのだ…。
木造2階建ての場合、図面を一目見ただけで安全かどうかが判る。
つまり、建築基準法で求めている壁量以上であるかどうかは、手計算しなくても読める。
まして206の壁で12mmの構造用合板を使っていて基準法が求める2倍の耐震性能があるのに、事務的、機械的に構造計算書を求める姿勢が許せない。
そうしたムダな費用は消費者に転嫁されるか、ビルダーが背負い込むことになる。

私が強調したいのは、超頑丈な構造物を見て即断する力がなく、計算書がないと認可が出来ないというのは、逆にいい加減な構造物でも瞬時に見抜く力がないということ。
いい加減でも計算書さえ付いておれば確認を降ろしてしまう確率が高いということ。
耐震偽装事件は、こうした審査員のレベルの問題でもあった。だから許せない。
千葉の石田ホームは2階建てでも全戸構造計算をしている。企業のポリシーで行う善意の行為は高く評価できるが、意味のない計算書を求めさせてはならない。

それよりも大切なことは、責任者による現場チェック。
構造計算書が付いており、構造図をチェックしたとしても、吹き抜けや勾配天井がある場合やパネル工法のジョイント部分などではどうしてもチェック洩れが出る。私の経験では5%程度に問題を発見し、即断で訂正を指示してきた。
瑕疵物件を施主に渡すわけにはゆかない。ビルダーの場合はトップが責任を持って現場で構造チェックを行うことが絶対に必要。

木構造の耐震性能は、確認申請や仕様などの図面チェックだけで得られるのではなく、現場チェックで担保されるということを知るべきだと思う。
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2007年06月02日

まず風致許可 (確認1)


昔から一緒に仕事をしてきた仲間で、一級建築士事務所を構えている者がかなりいる。
ツーバィフォーとかタウンハウス、ランドプランニングで独立した知人友人は60人をくだらない。

よく「一級建築士の資格は、足の裏に付いたご飯粒だ」と自嘲する。
取っても食えるわけではないが、取らないと気持ち悪い。
だからとりあえず一級の資格は取る。
そしてある程度力がつくと、それほど悲壮感もなく簡単にスピンオフする。
一級建築士のベンチャーは決して珍しいものではない。
しかし、それが必ずしも施主にとっては好ましいこととは限らない。
やはりなんだかだと工事力とか信用力が心配になって大手メーカーに流れる。
その大手の下請けになる。そういった事務所を多く見てきた。

そこで、設計士個人のホームページを立ち上げ、それぞれが設計事務所の所長のように振る舞えるようにしてあげたいと構想した。
そして、共通の性能仕様を決め、工事だけは共有の安心出来る責任施工体制を確立して設計士を支援する…。
つまり、全部の設計士はサラリーマンではなく設計事務所の所長さんになる。
この構想は今でも非常に有効だと考えている。
ただし、工事の核になる人材に恵まれることと、設計士の工事を軽視し見下ろす悪癖が克服出来れば、という条件付の話ではあるが…。

そうしたスピンオフ組の中に、確認申請の代行を主な業務としている者もいる。
久しぶりにその仲間に話を聞いてびっくりした。
「東京では、区や市役所へ確認申請書をもってゆくことはまずない。100%民間の確認機関を使っている。国土交通省に生け贄となって潰されたイーホームズをよく使っていた。役所に比べて仕事が速く、そんないい加減なことはやっていなかった」

ということは、ダイワ、パナ、ハイム、ミサワ、三井ホームなどは100%を出資したERIでこなしているのであろう。
耐震偽装で問題になったように、身内の申請に対する認可が甘いかもしれない。
場合によっては、偽装が見逃されているかもしれない。しかし、確認申請業務は以前よりははるかに早くなっていることは間違いない。
大都市の低層住宅では、民間機関が主流になっているらしい。

だが、風致地区の場合は確認申請の前に、まず風致の許可申請が先行する。
この申請には最低3から4週間はかかる。
そして、東京都の風致地区条例よりも厳しい内容を持っているのが区の「緑化計画」。
風致とか緑化計画の認可は民間の確認機関では扱えない。
したがって、どうしても確認を含めて区役所へ申請するということになる。

東京都の条例だと風致地区の角地適用で40%の建蔽率を50%に緩和するには、緑化率を30%にする必要がある。
そして区の緑化計画で、接道部の生け垣による緑化率を40%確保しなければならない。
さらに必要緑化面積の上積みが求められる。これは3メートルの高木で置き換えることも出来る。ということで、設計士は植栽の知識も求められてきている。

環境の時代というのは、省エネの技術を覚えればいいというだけでは許してくれない。
posted by x-unoblog at 12:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 確認 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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