非常に大きな問題でありながら、日本では本格的に議論されていない問題がある。
それは、サッシの寿命。
ウッドサッシが主流のヨーロッパでは、いかにアルミで外側をオーバレィしていても、サッシの寿命は数十年と割り切っている。
ガラスも、充填してあるアルゴンやクリプトンガス、遮熱の金属粉のコーティングの性能が、半永久的とは考えていない。
つまり、駆体は百年以上の風雪に耐えられるが、サッシやドアは途中で取り替える必要があると誰もが考えている。
このため、寿命がきたサッシを、外装の仕上げ材を傷めることなく取り替えられるように工夫をこらしている。
高気密高断熱住宅をやってきたビルダーや設計士だったら、1人残らずスウェーデンの超高性能輸入ドアを扱った経験があろう。
このドアは日本製のドア枠のように、外側からすっぽりと駆体にはめ込むというものではない。木製の枠に金属製の枠が一切付いていない。
したがって、大工さんは部屋内からレザーレベルで取り付ける枠の垂直・水平を点検する。とくに下枠の水平が物を言う。
写真は逆光で赤いレザーが見えにくいが、ドアの下枠を載せる不燃の板を、不燃の飼い木で丁寧に調整する。
そして、枠付ドアを部屋の中に入れ、取り付け枠の4隅に押さえの木片をスクリュークギで仮止めする。そして、内側から枠付ドアを建て起こす。
このドア枠には左右の縦枠に4本ずつ固定金物が埋め込んである。
これを付属の6角レンジで内側より捻り出しながら水平調節を行う。
水平・垂直がとれると、固定金物の中へ付属のビスを揉み込む。
こうして、玄関ドアがとりあえず取り付けられる。
気密工事や防水工事、仕上げ工事はあと。
ウッドサッシの取り付けも基本的にこのドア工事と変わらない。
水切りが付いているかいないかの差。
つまり、サッシやドアの寿命がくれば、いつでも枠に付いている固定金物のビスを外し、6角レンジで固定金物を戻せば、いつでも簡単に枠ごと内側へ外すことが出来る。
そして新しいサッシと取り替えることが出来る。
これに対して、外付けのサッシは、外装仕上げ材をはずさないとサッシが取り替えられない。したがってサッシの取り替え工事は大ごとになる。
そのことを『センチュリー住宅』などと叫んでいる大手プレハブメーカーも言及していない。国土交通省も黙っている。もちろん品確法も。
ガラスだけの取り替えだったら簡単に出来る。
S邸は大きな嵌め殺し窓、つまりフィックス窓が数ヶ所あった。
したがって、吸盤のついた道具を内と外で駆使し、簡単に装填していた。
ということは、PVCの枠さえ劣化しなかったら、ガラスや建具、シーリング材が劣化しても、いつでも取り替えが可能ということ。
ノックダウンではなく、がっちりと断熱材を充填し、劣化しない枠が開発出来るのか。
ドイツではPVCサッシの比率が50%を超えているという。
しかし、開発されてから時間が浅く、まだ50年程度の実績しか持っていない。
まして温暖地で、高温に曝される日本での、本当の耐用年数は分からない。
50年とか100年の保証を謳っているメーカーは、この点をどう考えているのだろうか。
もっと住宅業界全体で、議論を深める必要があるのではなかろうか。


