2008年01月24日

完成 (空調換気11)


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最後に残った仕事はデーターをとるためのメーターの取り付け。
空調の室外機とエコキュートに取り付ける。

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換気は2台まとめて1つのメーターに。

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これから一年に亘って、その記録取りを施主に依頼する。

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かくて、全工事が完了。
接道の40%以上が緑化。

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冬期の植栽で枯れ葉でしかないが、春の新芽が萌えだすと、景観が一転するだろう。
それにしても日本の風景をぶち壊している電線・・・。



ご案内のとおり、S邸はQ値が0.7Wのパッシブハウスとして計画した。
しかし、準防火地域ということもあって性能の良いサッシが得られず、0.9Wという残念な数値になってしまった。
これでは、とてもじゃないがパッシブハウスと称することは出来ない。
看板に大きな偽りがあったことを、重ねてお詫びしたい。
パッシブハウスという以上は、最低でもQ値が0.7W以下でなければならず、出来たら0.5W
以下であるべき。
まして無暖房住宅と呼称したいなら0.3W以下であるべき。
したがって、日本の全てのビルダーが呼称している無暖房住宅は「その志は良し」とするが、すべてが羊頭狗肉と言わざるを得ない。
現在の日本のサッシ業界の実態からして、0.5W以下は到底達成が不可能。
それなのに、消費者を紛らわす偽善行為と言われても、弁解が出来ない。
お互いに消費者の視点に立って、もっと謙虚になるべきだと思う。

このブログを書きだしたのが昨年の5月11日。
延べ148回、8ヶ月半にも及ぶ長期の連載で、615MBも消化するボリュームとなろうとは考えてもいなかった。
工事が始まったら面白い発見があって「やめられない。とまらない」
施主のSさんご夫妻とマイスターハウスの山口社長をはじめ社員並びに各専門職各位の厚いご支援とご協力があったからこそここまで可能になった。心から感謝。
そして、全国のビルダー仲間をはじめ多くの方から励ましのメールや言葉を頂いたことにも深謝。

S邸の現場で行われていたことが全て正しいと言うつもりは毛頭ない。
皆さんもお気づきのとおり、いろいろ問題がある。
しかし、貴重な施工ノウハウをオープンにしてもらったことは、1つの優れた共通の叩き台が用意されたということ。その意義は非常に大きい。
オープンな場で切磋琢磨してゆく。
その有意義な場をマイスターから提供頂いた。

また、このブログは、後1年はこのままにしておいて、月に1、2度データー情報などを掲載してゆく予定。

なお、完成したS邸を見たいという方で以下の条件に該当なさる方は、2月下旬以降であればSさんの内諾を頂いているので、申しつけ下さい。
(1) マイスターの施主ならびに見込み客の方は、Sさんご夫妻が群馬の多くの現場を見せて頂いたお礼を兼ね、山口社長や一場さんに伝えてもらえば無条件で優先的に対応させていただく。
(2) 全国のビルダー、設計事務所、大学や研究機関などの方は、鵜野に伝えてもらえば喜んで対応。
(3) パッシブハウスかそれに準じる計画を持っている消費者の方で、計画や情報をオープンに交換していただける方にかぎり、鵜野が窓口になり都度対応させていただく。
                                  以上
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2008年01月06日

吹出口の位置 (空調換気10)

セントラル空調換気メーカー各社のシステムで、一番納得出来ないのが吹出口の位置。
多くが天井面から真下へ吹出す。
こうした各社のほとんどの製品をモデルハウスで採用してみた。
その結果は、吹出口の真下にゆくと、滝のように空気が頭に降り注いでくる。強い風を感じて快適とは余りにもほど遠い不快さ。
2度と採用したいとは思わない。
メーカーの技術屋さんとか販売部長は、自宅に取り付けて実体験をしているのだろうか?  
自宅でなくても、モデル棟で実験をしているのだろうか?

ヨーロッパや北海道などで普及してきた開口部の上に第3種換気のパッコンを設け、その開口部の下にパネルラジエーターを設けるシステムは、コールドドラフト現象が起こらず、冷気や風を感じない。暖房だけのシステムとしては、いままでは一番優れたシステムだった。
ところが、この第3種換気のヒートロスが北欧やドイツで問題化され、90%の熱回収が出来る熱交換機の開発と普及が課題になってきている。この場合、パネルラジエーターの存在を前提に考えるならば、吹出口は必ずしも開口部の近くでなくて良いはず。
どこに設けているか、一度実態を調査したいもの。

20数年来、ダイキンと取り組んできた結果として、吹出口の位置は廊下とかクロゼットの側の天井に近い上部から、一番大きな開口部へ向かって水平に空気を吹出すことがベストだと判明してきている。
熱損失が一番大きいのが開口部。そこへ空気を送るようにする。
すると、風は頭の上を通って開口部に当たって床に落ち、廊下のドアのアンダーカットの部分から「つ」のような流れとなって抜けてゆく。これが効率的にも体感的にももっとも優れている。
壁掛けの空調機は、外壁から内部へ吹き出す。だから身体に風が直に感じるし、一番熱性能の弱い開口部へは空気が流れない。
壁掛けエアコンも、室内側に取り付け、天井から開口部を目がけて吹出せば、頭の上を通って開口部に当たる。その実験もとっくにモデルハウスで実証済み。しかし空調メーカーは性能の低い住宅を前提に商売をしているから、高気密・高断熱用のシステム開発がおざなりのままになっている。


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玄関は、正面の天井近くに吹出口がある。
しかし、風量が弱いので、玄関に入って熱風や冷風を感じることはない。

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居間と玄関の吹出口を横から見たもの。
壁掛けのメタリックな機器がないので、素晴らしいインテリアが出現する。

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和室も、押入の上から南の大きな開口部へ吹出しているのがよくわかっていただけよう。

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親世帯の寝室。
写真が小さいので判りにくいが、基本は同じ。

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階段室の目立たない位置にあるリターン空気の採入口。
月に一度はフィルターの掃除をするので、掃除機が使いやすい位置に設置されている。
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2008年01月04日

光触媒と排気フィルター (空調換気9)


蛇足ながら、顕熱交換機は湿気を含んだ潜熱は交換しない。
しかし、全熱交換機は潜熱までも交換するので、湿気に含まれている臭いが新鮮空気に移転する。
10年前、カナダ「スーパーE」の窓口だと自称するキミ・イトー氏がVan EE社の「臭いが移転しないロータリー式全熱交換機」なるものを売り込みにきた。
「まさか」と思ったが、モデルハウスに採用した。そして、台所の排気口にスプレーで臭いを散布した。
たちまち、全館に臭いが拡散。
以来、キミ・イトー氏を絶対に信頼しないことにしている。彼は設計士や技術者ではなく単なる商売人。
そして「スーパーE」で、この全熱交換機を採用した善良な日本の施主とビルダーの多くが、泣かされていることと思う。ちょっと悪質。


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そんなわけで、全熱交換機の後に、つまり空調機に新鮮空気を送り込む前の段階で、光触媒を設置することにした。
この光触媒を格納する箱もO社の方で注文して作らせ、納入された。
光触媒そのものはそれほど高価なものではない。
また、小さな光があればいいだけだから、ランニングコストもほとんど不要。

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それと、もう一つ作らせていた箱が納入された。
それは台所、トイレ、浴室などの排気が熱交換機に入る前に設置されるフィルター。
最初は、各排気口にフィルターを付けた。
現在でも、いくらでも付けられる。
ところが、多くの入居者はこのフィルターの掃除を忘れてしまう。
そして「湿度が高いのだけれど・・・」というクレームが入って訪れると、ほとんどが排気口のフィルターが詰まっての排気不足が原因。
このために、排気口でのフィルターを外した。
そして、このような排気フィルターを考案してくれた。感謝。

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これを2個ずつ取り付ける。
大きな家で、熱交換機が2台あるから。
左の2段がリターンフィルター。
右の2段が光触媒。

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完成した空調換気システム。

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反対側から見ると、なかなかの見物。
これが、住宅の「心肺機能」。
こうした健全な心肺機能を持った住宅は、日本にほとんどない。
各社のシステムを検討すると、採用したいと気をそそられるシステムがない。
その理由は、次回に検討することにしよう。
このため、S邸では手作りで、どうしても大型にならざるを得なかった。
そして、この心肺機能でもう一つ足りない物がある。
それは「除湿機能」。
動力など大型の空調機には、廃熱ドライのシステムが採用されていない。
シリカゲルやゼオライトのデシカント除湿では能力が低く、満足出来ない。

ともかく、住宅メーカー側の人間が、消費者の側に立ってどんなシステムが必要なのかを徹底的に追及する必要がある。
1つの理想的なシステムを完成させた上で、小型化とコストダウンの追求を始める。
それが王道。
ところが、住宅メーカー側で、この王道を追求している者が皆無に近い。
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2008年01月02日

熱交換換気 (空調換気8)


今週の本音欄で書いたが、ドイツのパッシブハウスでは壁や天井の断熱性能、つまり熱貫流率(K値)を0.15W/u以下にしなさいと言っている。
関東以西では、そこまでゆかなくても0.2W/u以下であれば十分だと私は考えている。
なぜなら、壁や天井から逃げる熱の割合が20%を切ってしまう。
そして、サッシと換気の比率がそれぞれ40%近くへと圧倒的に高くなる。
断熱材を厚くするよりも性能の良いサッシを選び、第3種換気を熱交換型の第1種に変えることが省エネの最重要ポイント。
しかも、熱回収率が今までの65%程度のものではなく、90%以上の性能が求められる。
すでに、ドイツのスティーベル社をはじめスイスなどから顕熱交換型で、熱回収率が90%という製品が輸入され、使われている。

それを使えばいいではないかということだが、最近では輸入顕熱交換機では物足りなくなってきている。
ヨーロッパの冬は毎日が雨か曇り空。冬期の相対湿度がやたらと高く、冬にダニとカビが発生している。このため、顕熱交換機でなければならない。
日本のR-2000住宅も浴室、トイレ、台所から排気するために顕熱交換機でなければならないとした。全熱交換機だと臭いが新鮮空気に移るから。
ところが、日本で光触媒という素晴らしい技術が開発された。
全熱交換機でも光触媒を用いると臭いや細菌の移転が心配なくなる。
だとしたら、全熱交換機の方が冬期は湿度も回収してくれるので過乾燥が避けられるので大助かり。夏の冷房効果も高まる。
そこで、宗旨替えをして、S邸ではダイキン製の熱回収率90%という全熱交換機を採用することにした。

この熱交換機はダイキンの試作品というよりは、X社の仕様書発注という性格が強い。
X社は熱交換だけのダクト配管で、暖冷房は別だという。
その話を聞いて、こちらはセントラル空調換気システムに組み込み、そのデーターの一切を貴社に公開するから、是非とも試作品を使わせて欲しいと、大変に厚かましいお願いをした。
そしたらX社からOKサインが出た。


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この試作機。欧米のコンパクトなものに比べると、写真のとおり図体が大きい。
幅62cm、奥行き72cm、高さ140cmという床置型。だから半畳を占拠してしまう。
試作品の性能は熱回収、エンタルピー効率とも非常に素晴らしく、消費電力は83W。
そして、何よりも嬉しいのはバイパス機能がついていること。
ヨーロッパからの輸入品にはこの肝心のバイパス機能がついていない。
超高性能住宅は、冬でも天気が良いと室温が高くなってオーバーヒートする。熱交換をさせずに冷たい外気をバイパスで入れる必要がある。
また、初秋や初夏に外気温度が低くなった時も、バイパスで熱交換をしない外気を直接入れた方が、冷房費が少なくて済む。
このバイパス機能を持っているかどうかが、これからの熱交換機のポイント。
ということで図体の大きさを我慢して、飛びついたという次第。

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換気機の足元につけるクッション材。それほど音も振動もないのでこれで十分。

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配線工事がなされる。

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OA(外気吸込)、SA(室内給気)、RA(排気吸込)、EA(排気吹出)のうちRAには金物のキャップが使われるが、あとは直にダクトが繋がれる。
フィルターなどの諸機能については、残念ながら差し控えさせていただく。
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2007年12月31日

空調周辺ダクト (空調換気7)


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各室への吹き出し口の取り付けは簡単。
昔のように吹き出し口で風量調整をする必要がなく、風の向を変える羽根がついているだけ。
それに、当初はメタル製のものしかなく、結露を防ぐために枠や羽根に植毛をしたりしたが、それでもクレームが絶えなかった。
今はビニール製でそんな苦労もない。
断熱材の上にアルミ箔を施したダクトを、接合するだけでことが足りる。

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ところが、空調機のまわりのダクトはアルミ箔のダクトではない。
光沢のないダクトを使う。
なんでこんなことをするのか。
吸音のため。
日本の空調機の音は非常に小さい。
アメリカやカナダのホテルないしはモーテルに泊まったことがある人なら、その騒音にびっくりされた経験があるはず。
半端な騒音ではない。
それに比べると、日本の空調機器の音は小さい。
トランペットとオルゴールほどの違いがある。
しかし日本人には、アメリカ人のように大雑把な神経の持ち主が少ない。
このため、O社ではかなり前から空調機器の周辺のダクトには、このように吸音性のあるダクトを採用している。
別に自慢するほどのことではないが、この配慮が嬉しい。

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もちろん350φのリターンダクトの回りも消音ダクト。

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14ヶ所の吹き出しチャンバの回りも同じダクト。
タコよりも6本多い脚の全てがそのように施工されている。


さて、この項は少なくとも本年以内に終了する予定だった。
しかし、セントラル空調換気システムについて、まだほとんどの人にそのメリットと機能が正しく理解されていない。
本物の良さを体験したこともなければ、優れた実物を見たこともない。
このため、どうしても解説を加えねばならず長くなった。
途中で越年となった。新年は2日から掲載の予定。

皆さん。どうぞ良いお年をお迎え下さい。
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2007年12月29日

室外機2 (空調換気6)



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冷媒管の取り付けが終わると、動力線などの配線工事。
室外機の中を見たことのある人は少ないと思う。
こんなです。

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工事が終わるとフタを閉める。

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土台のコンクリートブロックの下にもゴムのパッキングを入れれば完成。
地下収納庫を含めると約85坪のS邸の住宅の室外機が、これ1台。
たったの1台。

この室外機。どれだけの震度に耐えられるか?
あくまでも個人的な推定だが、震度6強までは大丈夫。
しかし、中越地震の川口町を襲った直下型の震度7だと倒れる怖れが高いと思う。
田麦山の激震地では丈夫なベタ基礎床の上に据えられていた細長いノッポのエコキュートが倒れていた。蓄暖も転倒していた。
その実態を空調や家電メーカーは調査していない。
直下型の震度7に耐えるには、屋外に設置するエコキュートは縦長にすべきではない。
そして、空調の室外機も上部に金属の帯を巻いて、緩く余裕をもたせながら外壁に固定した方がより安全だと考えるのだが・・・・。


さてところ変わってここは、54棟のモデルハウスが展示されている東京で最大の住宅展示場・ハウジングワールド立川。
この展示場は塀を設けることを禁止しているから表だけでなく裏も見ることが出来る。
そこで、日本を代表するプレハブを中心とした何社かの裏を拝見したら、ご覧のようにエアコンの室外機だらけ。
北側には4個しかないと東側を見ればそこにも3個という具合。大きい家は6〜8個が当たり前。
一番多いのは9個もあった。
表の華やかさ、美しさにくらべて、余りにも対称的な醜い風景。
どんなに「省エネ住宅」とか「環境にやさしい住宅」といっても、これでは素性がバレバレ。

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ヒートアイランド現象ということが言われて久しい。
原因はコンクリートやアスファルトに地面が覆われてしまったことが最大の原因。しかし、事務所や家庭などの室外機から排出される熱も重要犯人の1人。
大手のプレハブや住宅メーカーの住宅は、このように6〜8台の室外機で大量の熱をまき散らしている。
その住宅に住んでいる貴方は、ヒートアイランド現象の被害者ではなく、実は加害者。
地球の温暖化に貢献し、地球を虐める側にいるのです。
この6葉の写真は、そのことを雄弁に物語っているのではないでしょうか。


ところが、この室外機が1台ということがマイスターハウスにとって最大の懸念材料。
なにしろ最大の落雷多発地帯。
落雷を受けた直後の家庭を案内されたことがある。
もちろんテレビもクーラーも換気もやられていた。電話もやられていて、携帯がなかったので監督に連絡も出来ない。ただ、つけていなかった1台のクーラーが無傷で、改修工事が終わるまでの数日間の酷暑に耐えることが出来た。
これが室外機1台のセントラル空調換気だと、一週間は扇風機だけの生活となる。
したがって、なかなか踏み切れない。
群馬の場合だとセントラルシステムを採用するには、ほかに1台だけクーラーを予備として設置しておくことが必要のようだ・・・。
つまり、室外機が2台に。
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2007年12月27日

室外機1 (空調換気5)


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室内の工事に併行して、室外機の据え付け作業も進む。
まず、室外機の設置準備。
コンクリートの2本の台にドリルで穴をあけ、留め金具を取り付ける。
頭を叩いて先を開いて抜けないように固定。

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切断したゴムのパッキングに穴をあけ、留め金具に載せる。
そしてコンクリートの台の位置をよく確認し、2人がかりで室外機をパッキングに載せて固定する。

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事前に埋設されていた冷媒管の長さを揃え、銅管を熔接して継ぎ足す。
熔接が完全であるかを鏡で、裏の状況を入念に確かめる。

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問題がないことを確かめるとカバーを被い、2本の冷媒管と動力の配線、普通の配線を1つに束ねてテープで一体化する。間違えて引っかけたりしないため。

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道具を使って、銅線を90度の直角に曲げる。

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そして、室外機の取り付け位置に長さをカットし、特殊な工具で銅管の先をネジ加工する。
この時、わずかだが細かい削り屑が管の中に入ってしまう。
それを掃除機で吸い取る。

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2本の冷媒管が室外機に固定されると、真空ポンプで空調機から室外機までの管の中を真空にする。
30分くらい真空状態を続け、マイナスのゲージで管からの漏れが一切ないことを確かめて、はじめて冷媒ガスをパージする。
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2007年12月25日

結露防止と配管 (空調換気4)


正直言って、私は今まで300戸のセントラル空調換気工事の現場を見てきた。だが、工事の手順やその詳細な仕事の内容を系統的に見たことがない。
それなのに、分かったつもりでいた。
今回のS邸では出来るだけ時間を都合して、今更ながらではあるが系統的に仕事ぶりを拝見した。大変に良い勉強になった。


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吸込チャンバ⇒空調機⇒加湿器⇒1・2階分岐チャンバ⇒各室分岐チャンバ と順に吊された機器。
これらの機器の中には常に暖かい空気と冷気が流れている。
したがって、メッキ鋼板で作られた箱の外周は、黒いゴムが被覆・接着される。
それだけでは不十分。
機器の接合部分も結露と漏気を防ぐために、丁寧にゴムで被覆・接着される。
吊り鋼管の上に乗ったり、狭い下部に潜り込んだり、なかなか大変な仕事。

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そして、空調機には冷媒管とドレーン管が繋がれる。

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加湿機にはドレーン管と給水管が繋がれる。

セントラル空調換気工事屋さんは、造作大工さん並か、場合によってはそれ以上に、多彩な器具工具、機器類が必要だということを初めて知った。



【逆流防止弁】
前々回、12月21日付の吸込チャンバの記事で、逆流防止弁の写真掲載を省いていました。
複数の方からご指摘をいただきましたので、追加いたします。

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2007年12月23日

加湿機と吹出チャンバー (空調換気3)

ダイキンと提携してセントラル空調換気に取り組み始めたのが25年前。
当初、一番悩まされたのが熱交換機と加湿。
当時、熱交換機の特許がナショナルと三菱電機に寡占されていた。
このため、月々のランニングコストが5000円もかかった。排気専用の第3種換気が1000円以内で済んでいたのに比べ、消費者には大変な負担を強いることになった。
ところが特許が切れ、寡占状態が解消したら1500円以内と大幅に安い機種が・・・。
最近では、第3種と変わらないランニングコストのものが開発されてきている。
独占とか寡占状態という競争原理の働かない世界は、いかに不条理なものであるかを雄弁に物語ってくれている。

そして、加湿。
最初に採用したのが超音波方式。
これは水噴霧で加湿した空気をダクトで送るもの。
ところがダクトの内外で結露が発生し、クレームが多発して取り止めざるを得なかった。
変わりに採用したのが気化式。これは電気で水を温め蒸発させるのだからやたらと電気代がかかる。月に5000円というのがザラ。
困っている時、ダイキンが透湿膜方式という画期的なヒーターレス方式を開発してくれた。
これはフッ素樹脂を全体に引き伸ばして0.4ミクロンという微細な穴の集合体にする。
その四角い塊に空気を通す10mm程度の小さな穴を無数に貫通させる。
そして、フッ素樹脂に水をたっぷりと浸す。
すると、10mm程度の穴を抜ける空気に、微細な穴から湿気が自然に加えられる。
無数の穴を通る空気の温度が高いと、より多くの水分がヒーターレスで加湿される。
しかも0.4ミクロンという微細な穴だから細菌やゴミなどの不純物は空気に移らない。

素晴らしいシステムだったが、当初はトラブルが相次いだ。
それは、日に1度フッ素樹脂に含まれている水を全部流し、新鮮な水に取り替える。
その時、水の中の小さなゴミがひっかかって弁が閉まらなくなり、ドレーンから水が流れ続けるという事故。
新しい試みには、こうしたエラーは付きもの。

S邸に採用したのは全熱交換機。
顕熱で捨てていた湿度を90%は回収してくれる。
したがって一度室内の相対湿度を60%にまで高めると、かなり長期間40%台を確保してくれるはず。
このため、風邪にかかりにくく、静電気の心配も不要に。
そして、何よりも毎日簡易加湿器に水を入れたり、フィルターを取り替えたりする面倒くさい仕事が一切不要になる。
しかし、S邸さんご一家は、今まで加湿機のある生活をしてきたので、特別仕様で加湿機を追加して欲しいとの要望。


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こんなに大きな箱は不要なのだが、空調機にあわせて大きなものに・・・。
中に気化式の3倍の性能をもつ透湿膜加湿ユニットが2基。
これを吊り下げて設置、空調機にしっかり固定する。

なお参考までに記すと、最近では三菱重工などで透湿膜の簡易加湿器を発売しており、ヒーターレス式とか、加熱とヒーターレスを加えたハイブレッド式簡易加湿器などが出回ってきている。しかし水を加えるという面倒な手間は、どうしても必要。

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この加湿機の次ぎに連結されるのが1、2階の風量を調整するチャンバー。
これも最初に開発したのがダイキンだったと思う。
10年前に、豊田章一郎氏に言われてデンソーの技術屋さんがダイキンのセントラル空調換気システムを視察にきたことがある。以来、デンソーのセントラルシステムにもこの方式が採用されている。
つまり、夏は2階の風量を多くし、冬は逆に1階の風量を多くする。
それが、入居者の手で簡単に操作できる。
このチャンバーにも工事業者O社のノウハウがあった。
そこで、そのノウハウが分からないように、わざとピンボケの撮影。
芸が細かいのだ!

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そして、何よりも嬉しかったのが、次ぎに連結されるこの吹出チャンバー。
この1つのチャンバーで、1、2階14ヶ所全部の風量を綺麗に分岐する。
14ヶ所とは限らない。8ヶ所でも18ヶ所でもかまわない。
信じられないノウハウを開発してくれていた。
ここで、すべての吹出口の風量を簡単に調整出来る。
もちろんこれは、フレキシブルダクトが安価になったから出来る芸当。
昔は、各室の吹出口で調整するしかなかった。その調整は素人には出来ず、都度工事業者に電話して、脚立で直してもらうしかなかった。

このチャンバーの加工を、現場で行っていた。
大変面白く2時間ぐらいじっと作業を見させてもらい、15枚ほどシャッターを切った。
その作業は完璧。
写した写真を全部公開したいのだが、O社が築き上げたノウハウをタダで公開するわけにはゆかない。

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こうして、全てが緊結され、架台にぶら下げられる。
このように施工面でも技術の積み上げがあるからこそ、初めて快適なセントラル空調換気システムを満喫出来るのだということを、分かっていただきたい。

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2007年12月21日

空調機と吸込チャンバー (空調換気2)


まず、空調機の選定。
平方メートル当たり何Wの性能が必要か。
初期のツーバィフォーの高気密住宅の場合は、冬期よりも夏期のことを考えると、どうしても100W/uが必要だった。
これがQ値1.4WのR-2000住宅になって、当初おそるおそる60W/uとしたが、50W/uでも十分だということが分かってきた。

S邸のQ値は0.9W。
今までの経験から考えると35W/uで良いはず。だがダイキンエアテクノの提案で、安全側を考えて40W/uとした。
自社物件だと30W/uにトライしてみたいところだが、施主の家での冒険は危険。
S邸の1、2階の面積は249u。
このほかに地下に約23uの食品庫がある。
この食品庫は風量をうんと絞る計画だが、最初の1、2年は除湿のためにそれなりの風量を供給しなければならない。
となると272u×40W=10.9kWとなる。
動力で4馬力、11.2kWの機種、定額10kWと決定。

おそらくこれは過剰性能だと思う。
そして、当初の計画どおりの高性能サッシが入手出来、0.7WのQ値が達成出来ていたとしたら、場合によっては6.3kW、定額5.6kWの単層200Vで間にあったかもしれない。
これは「たら」「れば」の問題ではなく、これから誕生して来るであろう150u以下のQ値0.7Wの住宅だと4kW以内の機種1台でOKという近未来の話。
そんな日が近づいてきている。
今までの居間用に匹敵する機種1台で、全館24時間冷暖房が出来る。
ソフトで、澄んだ高原のような空気の中で一年間を過ごすことが可能。


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空調機の設置は、屋根タルキに吊すか、204材で架台を組むかのいずれか。
S邸では204材で長い架台を組み空調機を吊した。
そして、吊すパイプの振動がなるべく伝わらないように、ゴムのパッキングをかます。

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反対の新鮮空気を採り入れる側。

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ここに写真のような吸い込みチャンバーをつける。
これは工事業者のO社が、空調機の大きさに合わせて作ったもの。
150φの穴が2つと350φの穴が1つ開いている。
150φの穴は、熱交換機で90%熱回収された新鮮空気の吸い込み口。
S邸の気積は約650m3。地下食品庫が約60m3で、合計すると710m3。
これが1時間に0.5回転するには355m3の換気が必要。
換気機器の諸性能については後で詳しく述べるが、1台のキャパシティは180m3/h。
したがって2台が必要だということになる。
したがって150φの穴が2つ空いている。

しかし、この2つの穴から入ってくる新鮮空気だけを暖めたのでは、全館の冷暖房が正しくコントロール出来ない。
そこで、階段室から室内の空気をリターンさせ、新鮮外気と混ぜて暖めたり、冷やしたりして各室へ送風する。
350φの穴は、そのリターン用。
穴の面積を計算すると新鮮空気1に対してリターン空気2.7。
これだけの空気を暖めたり、冷やしたりして全館14ヶ所に送る。
その空気が、壁掛けエアコンの1/3から1/4の風速で廊下側から窓へ向かって水平に吹き出される。
この時、ほとんど風を感じない。つまり、対流暖房なのに、輻射暖房と同じ快適さ。

そして、この350φリターン口には、もう一つ大きな機能がついている。
それは、逆流防止弁。
暖冷房を行わない中間期は、換気だけで十分に快適。
その時、この逆流防止弁が働いてくれる。
もし、逆流防止弁が付いていないと、新鮮空気はリターン口から階段室に多く流れ、各室に必要量が流れなくなる。
逆流防止弁は空調機の稼働に連動して、黙々と働いてくれる賢い奴。
posted by x-unoblog at 10:11| Comment(0) | TrackBack(1) | 空調換気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月19日

機械室下地と機器搬入 (空調換気1)


セントラル空調換気の場合は、小屋裏を機械室にする場合が多い。
和風好みで、勾配の緩い屋根の場合は、小屋裏とは別途に機械室を設けなければならない。
しかし、最低でも1.3坪以上のスペースを必要とするので、なるべく小屋裏を使いたい。
となれば通常形態のトラスではだめ。
特殊なトラスを作らせるか屋根梁方式を採用するしかない。


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S邸の場合は、屋根面にたっぷりと現場発泡ウレタンが吹き付けられている。
したがって、吸音面では心配ない。
しかし、遮音は別。
まず、勾配天井となっている隣室との壁にはロックウールが施工され、石膏ボードが張られる。
そして、床面には2階の床同様にサウンドカットの接着剤とスーパーハードという重い石膏ボードを施工。
その上に、余っていたフロアー材を施工。

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そして、ここへメーカーから空調機と換気の機械が運びこまれた。
メーカーから直接運びこまれるのは、平らな空調機と背が高い熱交換機2台だけ。
それと、室外機が1台。
あとのダクト、冷媒配管、ドレーン管をはじめとした取り付けに関わる工事と必要な部品機器づくりは、一切工事屋さんにお任せ。
もちろん給排気のベントキャップなどの部品は、メーカーの既成部品を使う。
しかし、空調各社が提案している「システム」をそのまま採用する気はサラサラない。
どこも、満足出来るシステムを提供していないから・・・。
このため、入手出来る機器を組み合わせて、都度最適なシステムを作りあげてゆく。
例えば空調機にしても、単層200Vの機種を採用するか、動力を採用するか・・・。
これを、ダイキンエアテクノと工事業者のO社、それとビルダーで議論して組み上げる。
そうしないと最適で、イニシアル・ランニングコストともに安くて満足出来るシステムが得られない。というのが実情。

例えばシステムキッチンにしてもユニットバスにしても、メーカーから現場へ機材が配送され、工事屋さんが現場で組み立てる。しかし、主要な機材のほとんどが工場で生産されているので、工事屋さんは現場で組み立てるだけでよい。
特別、工事屋さんが作りものをする必要はない。

ところが、セントラル空調換気に関しては、メーカーが担当するのは基本的な熱計算と主要機械の生産と配置設計だけ。
その配置設計も、工法の特徴や根太の方向、梁の位置などを熟知しないと正確なダクト図が描けない。空調メーカーにお任せすれば、すべて解決すると考えるのは大間違い。
空調換気メーカーの中に、住宅のセントラル空調換気システムに精通し、住宅の工法にも精通した設計者は、残念ながら皆無に近い。

つまり、ビルダー側の設計士か現場監督に経験のある者がいて、最初からダクト図を考えながらプランをしないと、セントラル空調換気システムは綺麗に納まってくれない。
本当に厄介。
そして、その設計士や現場監督以上にウェィトを占めるのが工事屋さん。
これからその仕事振りを追って行くのだが、作り物が多く、ナマ半端な知識では対応出来ないことが分かって頂ける。
ものすごい経験と専門知識が求められる。

この、分かった設計士・現場監督と経験豊かな工事屋さんが育っていないので、日本ではセントラル空調換気システムの普及が呆れるほど低い。
これは、日本の住宅産業界の最大の恥部。
ところが大手住宅メーカーにはその自覚がない。
これが情けない。
posted by x-unoblog at 07:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 空調換気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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