2008年01月12日

コーキング専門職 (内装11)


日本の住宅業界に「コーキングの専門職」が存在していることを知らなかった。
浴室の木部の目地やガラスブロックの目地を、誰がどのように処理をするのかが、最後まで謎として残されていた。
そこへ登場してきた2人組。
聞いてみると、目地処理工事だけで食べているという。
ビル工事は別として、木造住宅で目地処理だけを商売にしている専門職に初めてお目にかかった。
そして仕事振りをみて「なるほど専門職だけのことはある」と感心させられた。
なにしろ、目地と言っても木もあれば石もある。タイルもあればセメント板もある。
種類もシリコン、変性シリコン、アクリル、ウレタン、ポリウレタン、ポリサルファイドなど様々で、多種多様な色がある。
それを違和感なく、しかも目立たないようにおさめなければならない。


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浴室のウェスタンレッドシーダーには目立たないネズミ色が使われた。
一人が押出機で注入し、もう一人が綺麗に均して行く。

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青森ヒバには淡い透明に近い色が選ばれた。

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大理石と大理石。大理石と床の間に、それぞれ養生テープが施され、コーキングを注入し、乾いたら養生テープを剥がす。

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無垢の天板と壁とのコーキング。

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浴室の石と石。

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洗面台のトップと壁。

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セメント板とセメント板のコーキングは目立つところだが、きれいにU字型に施工されていた。
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2008年01月10日

カーペットと便器 (内装10)


25年前までは、日本もカーペット王国だった。
部屋だけではなく、廊下にも階段にもカーペットが敷かれていた。
ところが、日本ではセントラル空調換気が普及しなかった。
加えて、除湿機の開発が遅れた。
このために、カーペットはダニの巣になり、アトピーの子どもが増大した。
このためカーペットが追いやられ、ダニが潜れないフロアー全盛時代を迎えた。

しかし、このフロアーは音を10%しか吸収してくれない。
タタミが60%、カーペットが50%も吸収してくれていたのに比べると雲泥の違い。
かくて、日本の住宅は吸音性の乏しい、騒々しいものに一変した。
まして、2階までがフロアーとなり、階下の住人は上階のドンという重量衝撃音と、子どもが素足で歩くペタペタという軽量衝撃音に悩まされることになった。

セントラル空調換気システムが一部で普及し、相対湿度がコントロール出来るようになって、ダニの心配がなくなった。
しかし、なかなか床をカーペット仕上げにしようという猛者が現れてくれない。


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S邸は、8年間のアメリカでの生活と、10年間に及ぶ日本でのR-2000住宅での生活体験から、除湿さえきちんとなされておれば、カーペットでもダニが湧かないと言う確信を持っていた。
このため、両親の寝室とご夫妻の寝室は真っ白のウールのカーペット仕上げとした。
アメリカの分譲住宅で、最も高価なカーペットは限りなく白に近い。
一番汚れやすく、メンテが大変。
だから白を選ぶというのは大変に勇気が要る。
安い分譲住宅では、緑とか黄色といった原色に近い色を選ぶ。
これは、あまりにも当然な選択。

床に壁沿いに設置するグリッパー、膝で叩いてカーペットのシワをとるニーキッカー。それとバリアフリーのためにカーペットの端を埋め込ますステアツール。切断のトリマーなど、懐かしい道具に何年ぶりかでおめにかかった。
やはり、美しいカーペットの部屋は静かで、足の感触もよく、心が休まる。
カーペット復興運動を興すべきかもしれない。


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設備機器の説明は省略するが、最新の便器だけには触れておきたい。
ほとんどの人が知っている便器はレバーを回すとフロート弁が浮き上がり、タンクに溜まっていた水が流れ出るという単純明快な仕組み。
所定の水が流れると、フロート弁は自動的にしまり、再度水が溜まる。そして浮玉が所定の高さまでくるとボールタップで水の供給が止まる。
便器にはしょっちゅう故障するが、素人でも簡単に直せた。

ところが、この写真のように便器は半導体によるITの世界に変わりつつある。
もはや故障しても、水道屋さんの手にはおえない。
自動車もクーラーも同じ。
昔のように故障したところをハンダコテで修理するわけにはゆかない。
あらかじめ半導体で印刷されたようになっている。
このために、メーカーに持ち込まないと本格的な修理が出来ない。
便器もそうなりつつある。
そのうち、便器がその日の便の状態を読んで病状が判る時代がくるという。

新しい便器とその取り付け方法を見ていて、すっかり時代が変わったということを嫌と言うほど認識させられた。

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2007年12月17日

塗装 (内装9)


室内の塗装は壁と木部。

壁に関しては漆喰とか珪藻土の塗り壁でなければならないとこだわる人がいる。
その考えは否定しない。化学物質の問題がなくなってきたので漆喰とか珪藻土でなければならないという理由が稀薄に・・・。
十勝で多用されていたハンディテックス。品質が一定で価格がこなれており、いろんなコテ仕上げが出来るとともに、ワラや珪藻土を混入していろんな味わいを出しているのが魅力的だった。
個人的な願望としては、アークフラッシュのように後で吹き付け塗装するのでなく、事前に光触媒処理をされたクロスが開発されてこないかと期待している。そしたら、半永久的に汚れや悪臭の心配がなくなるのだが・・・。


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S邸で採用されたのは2階洗面室の塗り壁用のヌリカラット。
浴室の壁は既に見てきたとおりタイルで天井面はレッドシーダー。
そして、洗面は浴室との仕切がなく一体化。このためヌリカラットを採用。
これはINAXのエコカラットの塗装版。
まず壁を塗り、ついで天井面を塗る。

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このように仕上がる。


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木部の塗装は白と床のカリンに合わせた濃いワインカラー。
この2色で統一されているから落ち着いた雰囲気が醸し出される。

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棚関係も下塗りがなされ、乾燥させてから上塗り。

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現しの食器棚や無垢のトップなどにも下塗りがされる。

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仕上げ塗りが終わると、このように輝いて見える。
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2007年12月15日

石 (内装8)

ヨーロッパのフランスからイタリア、スペインへと高速道路を走ると、道路のところどころで大きなストーン・ヤードを見ることが出来る。
北米とか日本の高速道路を走っていると、材木のランバー・ヤードが見られると同じ状況。イタリアあたりではストーン・ヤードはありふれた風景。
大きな石もあれば板のような平らな石、あるいは大黒柱のような細長い石。
色は白もあれば黒もある。黄色もあれば緑の石もある。
ところが、このストーン・ヤードのことを書いた日本人の著書を見たことがない。
日本の旅行者は、それを見ても何かがわからないので、黙殺しているらしい。

ということは、それほど日本人の住宅の中には石が入りこんでいないということ。
せいぜい、庭石とか灯籠とか石臼、あるいは大谷石の石塀と墓石程度。
大理石などは山口県でしか採石されず、ホテルやビルにしか使えない高価なものだという先入観が日本人の意識にこびりついている。

30年も前に、初めてイタリアへ行って、公営のアパートを訪れてびっくりした。床に大理石が使われていた。
現地在住の通訳に聞いたら、大理石の方が木材のフロアー材よりも安いという。一番高価な家にしか木のフロアーは使われていないとのこと。
火山がないので地震がない。
噴火した土がないので山には草木が生えず、岩だらけ。
いくらでも安く石が手に入る。そこらあたりに無尽蔵にある。
しかも、日本の花崗岩や安山岩、凝灰岩に比べて固くて色彩が豊富。
まるっきり条件が違うことを嫌と言うほど思い知らされた。

ところがこの10年来で、日本の条件が一変した。
中国の福建省、広東省、河北省から安い石がどしどし輸入されるようになった。
とくに福建省からの輸入が著しい。
食品や玩具などと違って、石には化学物質とか農薬が含まれていない。
かくて、日本の住宅で、今世紀に入って初めて石が本格的に採用されるようになってきた。


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S邸では、FRP防水されたコンクリートの浴槽の仕上げに石が用いられた。
アジャスト用の石を貼り付け、その上に接着剤のだんごがつけられる。

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これを、レベルで垂直、水平をとりながら浴槽の内壁に貼って行く。

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そして、色違いの石が、浴槽の外壁、浴室の腰壁に貼られる。
もちろん床にも。

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完成すると、この石とコンクリートの浴槽は蓄熱性も高く、高価なだけの値打ちがある。

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マントルピースの飾りにも大理石が部分的に用いられた。そのカッテングの模様。
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2007年12月13日

タイル2 (内装7)



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次は玄関のタイル。
砕石を突き固め、断熱材を敷き、コンクリートを打った上に、セメントを混ぜた砂利を
敷き、上から水を撒くようにかける。

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糸を張って水平をとり、コテで砂利を水平に均してゆく。
そして、水準器で水平を取りながら、槌で叩いてタイルを固定してゆく。

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玄関の中央から左右に振り分け、順次千鳥貼りをしてゆく。


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次は親世帯の前のタイル。
本来は、外部工事として最後に行うところだが、バルコニーの梁受け柱をタイルで仕上げる関係上、外装タイル工事の前に施工された。


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次は、内装壁の化粧タイル。
ここで、初めてコテで塗るタイルを見た。
官民共同で研究したという特殊ウレタン樹脂プレポリマー。
3枚毎に水平に打った墨の跡が消えないように、間隔をあけて塗っているのが良い。
これだと、ほぼ均等に施工出来る。
しかし、輸入タイルは、寸法や形状にバラツキがあり、職人泣かせ。
日本的な感覚を捨て、そのバラツキに味わいがあるのだと考えるしかないようだ。
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2007年12月11日

タイル (内装6)

建材の中で、タイルほど種類の多いものはない。
大きさといい、色柄といい、形状といい、どうにでもしてくれと言いたくなる。
昔の寸法は200mm角までしかなかったが、最近では300mm角はもちろんのこと600mm角、300×600、900×600、1200×150というものも出回ってきている。


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ダイニングの床。
イスの細い脚が直接当たるので、接着剤の間隔が広いとタイルが割れる怖れがある。
このために、だんご状の接着剤を密に盛って千鳥貼り。

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洗面所のタイルは600角。
その目地を処理。

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タイルのカットには、細かい粉が舞う。
それを吸い込む丸く膨らんだ機械。

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浴室の壁に用いる接着剤は2種類をこね合わせる。
ただし、だんごの間隔は、床よりは広い。

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これを、水準器で垂直・水平を確かめながら貼って行く。

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目地処理は、床のように後で流し込むというわけには行かないので、タイルを貼りながら、都度目地の部分に目地材を塗り込んでゆく。

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こうして、タイルの壁が仕上がる。
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2007年12月09日

防水工事2 (内装5)


ほとんどの人が、ビジネスホテルでFRPのユニットバスを使った経験があると思う。
これは省力化の雄としてもてはやされ、多くの住宅にも採用されるようになってきている。
中にはタイル張りや石張りもあって、とてもFRPのユニットとは信じられないものが多い。
ただ、このユニットバスを採用すると、バリアフリーにするためには浴槽の関係からどうしても浴室の床をくり抜いて低くしなければならない。
床をくり抜くのをやめようとすると、洗面脱衣室の床を一段高くする必要があり、バリアフリーになってくれない。
そこで、どうせ床を下げるのならユニットバスでない方法を採用したいという希望が出てくる。
それに対応するのがFRP防水工事。
つまり、工場で床や腰壁までを一体化したFRPを作るのではなく、現場で一体化したFRPの床や腰壁を作ってしまおうという話。


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FRP(Fiberglass Reinforced Plastics)は繊維強化プラスチックのこと。
まずガラス繊維のマットを下地の合板やコンクリートに敷く。

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そして、液状の軟質不飽和ポリエステル樹脂に硬化剤を加えて混合する。

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この混合したプラスチックを、ガラス繊維の上からたっぷりと下地の合板やコンクリートに塗布してゆく。

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一度だけではなく、二度にわたってこの作業を繰り返す。

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このプラスチックが硬化して、このように継ぎ目のないシームレスな床から腰壁まで一体化したFRP防水が出来上がる。

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2階の場合はモルタルを塗る必要があるので、FRPにトンボをつけ、メッシュを施工する。

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そして、腰壁から天井にかけてはRAシートがタッカーで止められる。

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配線や配管周りは、きちんと防水コーキングが処理される。

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2007年12月07日

防水工事1 (内装4)



陸屋根と地下室の場合を除いて、住宅における主な防水工事はバルコニーと浴室。
バルコニーにはシート防水とFRP防水が用いられるが、浴室はほとんどがFRP防水。
このFRP防水の登場で、泣き所であった浴室回りのクレームが画期的に解消された。

S邸ではバルコニーにシート防水が、1、2階の浴室にはFRP防水が採用された。
バルコニー防水は、とっくに紹介したと思っていたが、外部防水工事という項目を設けなかったので忘れていた。
内装工事の欄で紹介するというおかしげな事態になったことをお詫びする。


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20mm程度の薄い断熱材が敷かれ、細いワイヤメッシュが取り付けられる。

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排水口の周りは断熱材を敷かず、段差をつけて水はけを良くする。

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モルタル屋さんが勾配を取りながら綺麗にならしてゆく。
排水口の回りは緩く下がっている。

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シート防水屋さんの登場。
モルタルに接着剤をたっぷり塗り、シートを取り付ける。

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立ち上がりの部分も当然ながらシートを貼る。
風抜きの部分もシートで囲む。

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これらのシートとシートを高温の熱風で熱熔接してローラーで抑えて一体化する。

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一体化されたシート防水。
立ち上がり部分から雨が侵入しないように、また床が工事中に破れることがないように、きちんとした養生がなされる。

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2007年12月05日

クロス張り (内装3)


10年ぐらい前、ホルムアルデヒドが大問題になり、ビニールクロスがやり玉に上がった。
クロスそのものも問題だったが、使っていた接着剤により問題があった。
クロス張りの現場には嫌な臭いが漂っていた。
しかし、最近の現場は無臭。
そして、つい最近まではクロスが汚れてくると張り替えねばならず、吹き抜け空間があると張り替えは部分的に済まず、1、2階のパブリックスペースのほとんどを張り替えねばならなかった。
最近では張り替えるのではなく、ペンキや珪藻土などを塗って仕上げるという方法も採用されるようになってきた。

S邸では、全ての天井、壁ともアイボリー・ホワイト。
この方が材料のムダがなく、全体に落ち着きと統一感と品格が出てくる。


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お馴染みの専用ノリ付け機。
指定の長さでカットし、綺麗に折りたたんでおく。

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ジョイントの部分には、次のクロスを貼る前にテープを貼る。

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折りたたんであったクロスを拡げ、テープいっぱいに重ねながら、コテでシワを取りながら貼ってゆく。

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コテを当てて、クロスをカット。

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コテを定規にして、ジョイント部分にカッターを入れてゆく。
そして、ジョイント部分に重なっていた2枚のクロスと2枚に切られたテープを抜き取る。

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ローラーで強く押しつけて均す。
こうすることによって、ジョイント部分の継ぎ目が分からなくなる。
暗い場所では光を当て、鏡のように平滑に仕上がっているかどうかを確かめる。
天井灯の多い日本では、夜電灯をつけたときにアラがくっきり見えてくる。
それを避けるのが、フレーミングから一貫したプロ軍団の仕事。

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天井が終われば壁。壁の手順は天井と変わらない。
ただ、2人ではなく1人でこなす。
そして、このような天窓の部分には、ボード張りを含めて大変な人工がかかる。
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2007年12月03日

クロス下地2 (内装2)


前回、商業資本の三井不動産に建築現場の技術が分かる者がいなかった。三井造船辺りの技術者を活用すべきだったがそれをやらず、永大産業からの流入技術者に依存したのが間違いだったと書いた。
そしたら「どこがどのように間違っていたのか」というメールをいただいた。

戦後のアメリカの住宅産業は、現場の生産性向上の技術を造船業などの産業で進められていたIE(インダーストリアル・エンジニアリング)から学んだ。
全ての職人の作業を分析し、ムダな動作を省いて行くというタイム・スタディ。
日本の建築現場のように1日単位の「人工」ではなく、アメリカでは時間単位の「マン・アワー」の世界。分単位での生産性向上運動。
当時、このIEの技術にもっとも精通していたのが、自動車業界ではなく、世界のトップを走っていた日本の造船業界。
そうした状況の中で、三井造船がツーバィフォー工法に乗り出そうとタイム・スタディなどの研究を進めていた。
「たら、れば」の話にすぎないが、三井ホームがもしこの三井造船のタイム・スタディに依存し、建築現場のムダを徹底的に省くというイノベーションを共同で積極的にやっていたとしたら、日本の木造建築の生産性は飛躍的に高まったはず。
全く、惜しいチャンスを失ったものです。

現場の改善のヒントは現場にあるということ。
現場へ繁く足を運ばずして、コンピューターをいじっていても絶対に改善策は生まれてこない。
トヨタ自動車の「現場に訊け」という基本姿勢が、住宅業界にまだまだ不足していることを痛感させられます。


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さて、下塗りが終わるとカッターとコテで塗りムラを綺麗に落としてゆく。

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そして中塗り。
この時、ボードのジョイント部分だけでなく、クギ頭も塗られる。そして、写真のように壁と天井の1/4近くにパテが塗られる。
これだけを見ていると凄い現場と思われるだろう。
しかし、アメリカの現場では、必ず入り隅部と天井と壁との部分にもテーピングが行われ、パテ仕上げが行われている。
それでいて、パテの作業跡が見えるのは天井と壁面の1/6に過ぎない。
日本のように天井に3X6尺、壁に3X8ないしは3X9尺のボードを使ってはいない。天井、壁とも4X14の大きなボードを横張り。
このため、ボードのジョイント部分が日本の半分以下になり、入り隅部や天井と壁の部分のテーピングを施しても施工面積は2/3程度。
もし、三井造船が最初からツーバィフォー工法に参与していてくれたら、この写真が一変したものになっていただろうと言えるのです。

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いよいよ仕上げ塗り。

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仕上げ塗りが終わると「カッターとコテでのマジックショー」
少しの凹凸もなく、文字通りフラットにしてゆく。
このカッターのマジックは、私は初めて見ました。
北海道のビルダー仲間も、聞いて呆れていました。
Nさんチームの独創に脱帽。

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そして、アールの部分もこのように美しく下地がなされます。

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2007年12月01日

クロス下地1 (内装1)


アメリカの現場で、ホームビルダー仲間が発見した内装工法がある。
それは、石膏ボードの下地処理の「ドライウォール工法」
仕上げは壁紙でも、塗装でも、吹き付け仕上げでもよい。
北米では内装下地工事はビルの内装下地を含めて全てがドライウォール工法。
その生産性の高さをいくら口で説明しても誰も分かってくれない。
吉野石膏の技術屋さんに話してもラチがあかない。
そこで、プロのカメラマンから36mmの撮影機を借り、フィルムの装填方法を教わってアメリカの現場でドライウォール工事の全てを撮影してきた。
それをプロの手で、20分の映画にまとめてもらった。
題名は忘れたが「内装工事の革命児・ドライウォール工法」というような名だった。
その映画を吉野石膏の本社に持ち込み、当時の吉野社長以下幹部の前で上演した。
この映写会で、吉野石膏も初めてドライウォール工法を知った。

早速吉野石膏は、アメリカからバズーカーという名のテーピング機器を導入し、技能者の教育訓練を始めた。
しかしこの凄い武器を、トップメーカーである三井ホームが採用を躊躇した。
ツーバィフォー工法の普及に果たした三井ホームの功績は、たしかに大きい。
しかし、三井ホームは3つの点で、ツーバィフォー工法の日本への正しい技術導入を阻害するという大罪を犯している。
1つは大工さんをフレーマー、ボード、断熱・気密、造作の4つの専門職に分類して育成し、生産性を上げるという基本命題を放棄したこと。
2つがドライウォール工法を採用するという勇気を持たなかったこと。
3つは、セントラル空調換気システムの導入をサボったこと。
この3点が、三井ホームが犯した歴史的な罪状。

三井不動産という商業資本には、アメリカの革新的な建築技術大系を理解出来る者がいなかった。あの時、三井造船辺りの技術者を活用していたら、アメリカのイノベーションを最大限に吸収したであろう。
しかし、北米の技術を徹底的に研究したことのない永大産業からの流入技術屋に依存したことが、千載一遇のチャンスを逃し、ツーバィフォー工法を矮小化、歪曲化してしまった。このことは、別の機会に詳しく検討したい。

そんなわけで、日本の住宅ではテーパーボードによるドライウォール工法が普及しなかった。
しかし、V溝のボードを使いながら、日本独自の下地工法が開花してきている。
生産性は低いが、壁をフラットにする細工は、日本人ならではのものがある。


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これが、クロス屋さんが用いる三種の神器。
コーナービートとメッシュとテープ。

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ボードのジョイント部分には、アメリカのような紙ではなく、糊の着いたGメッシュなどと称するファイバーテープを貼って行く。そして、幅木などにはテープを貼って汚れないようにする。

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そして、出隅部の全てにコーナービートを取り付け、下塗り用の石膏系のパテで固定してゆく。

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下塗りが終わると、普通はテーパーを掛けるのだが、このNチームはカッターとヘラで塗りの凹凸を削って平滑にしていた。
テーパーを使うとホコリが出るが、このカッターとヘラ方式だとほとんど汚れが出ない。しかも鏡のように平滑になると、他の職人さんからも好評をもって迎えられている。

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カッターでの均しがおわると上塗り用のパテで中塗りと仕上げ塗りが行われる。
下の白っぽいのが下塗り用で、色の濃いのが中塗り、上塗り用。

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