2011年11月29日

間欠運転か連続運転か (生活体験2)


Y.S邸では今年の夏、「節電」 実験を行った。ご存じのようにY.S邸のQ値はS邸と同様に0.9W。
この高性能住宅で、「昼はエアコンを止めての生活」 と 「設定温度をやや高めにして一日中エアコンをつけ放し生活」 との消費電力の比較をしてみた。
そしたら、ほとんど差がなかった。

エアコンの間欠運転が得か、連続が得かの議論。
気密性能も熱損失性能も悪い 次世代省エネ基準程度の住宅の壁掛けエアコンの場合は、たしかに止めている時間が長ければ長いほど節電になる。 夜中とか日中はエアコンをつけずに我慢する方が家計に優しく、国にも貢献しているような気になる。 
その変わりダニやカビが発生して、お子さんがアトピー症疾患になり、余分な医療費を払わざるを得なくなる。 冬期の低温・低湿度は、子どもだけでなく大人にとってもカゼの元。とくに年配者がいる家庭では負担が大きくなる。
したかって、壁掛けエアコンを止めて節電をはかることが、必ずしも家計に優しい行為とは言えない。
夏は熱中症で死ぬ場合さえある。

一方のセントラル空調換気の場合は、22年前にR-2000住宅の第1号モデルが立川に誕生した時に、夏と冬で夜間にエアコンを付けっ放しにしていた時と 消した時の消費電力量をダイキンに測定してもらった。本当は昼もやりたかったが、展示場は毎日開いているのでムリ。どうしても夜間だけの測定となった。
R-2000住宅で、Q値は1.4Wに過ぎなかったが、夏も冬も夜間エアコンを止めた時と、つけ放しではほとんど差がなかった。
これは、夜間エアコンを止めると室温が大きく変わる。それを元に戻すのに、朝になってエアコンは強運転をする。その強運転に大きな電気代がかかる。
これに対して、エアコンを止めない場合は、温度が上下する度に、思い出したように時折運転するだけだから、それほど電気代がかからない。

私なども、「間欠運転か連続運転か」 などと言うことがある。
たしかに性能の悪い住宅の壁掛個別エアコンの場合は、ONにすると文字通りの連続運転。 休ませるにはOFFにするしかない。
このON、OFF状態を指して、間欠運転と称してきたと思う。
ところが、高性能住宅のセントラル空調システムにあっては、暖房も冷房も、常に間欠運転。
確かに、スィッチはONにしたまま。
ところが、空調機は5分間運転して10分間休むということを繰り返している。
常に間欠運転しかやっていない。
ただ、スィッチを切らないから私どもは 「高性能住宅の空調換気は、連続運転が原則です」 などと施主に説明してきた。
考えてみたら、この説明は大間違い。
「高性能住宅では、ONのままにしておいても、機械が勝手に判断して間欠運転してくれます」 というのが正しい。
そして、「夜間や半日程度の外出の時は、設定温度を1℃程度変えて下さい。夏は高く、冬は低くして下さい。 また2〜3日家を空ける時はOFFにせず、設定温度を2〜3℃変えて下さい。その方が、家にとっても住人にとってもハッピーです」 と言うべき。

なお、この高性能住宅のセントラル空調では、実質的に間欠運転しかしていないという事実。 それは、当たり前のことだと空調業界も私も考えてきた。
ところが、今年の夏のS邸での測定で、今までの業界の常識を覆す大問題を内蔵していることを気付かせてくれた。
驚くほどの大発見があったということ。
これは、後日詳しく検証したい。


訂正
前回、「必要なことは、夏の顕熱の熱交換ではない」 と書きましたが、これは 「潜熱」 の間違いです。お詫びして訂正いたします。
夏は、潜熱をいくら熱交してもたいした意味がありません。 70%という相対湿度を半減させる除湿こそがポイントだという当たり前のこと。それを、エンタルピ講義の理解不足で見失っていたという体たらく。反省しています。


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2011年11月11日

全熱交に対する過信 (生活体験1)


今から4年ぐらい前のことだったと思う。
名古屋地域で自動車関連企業に勤めているTさんから、自宅を建てるにあたって「名古屋での夏期の除加湿の必要性」を示すグラフを送って頂いた。

名古屋での除加湿量.pdf

図の中の真っ赤な線が必要除加湿量。
この図を見て、「顕熱交ではダメ。日本の夏期は潜熱が多い。つまり全熱交でエンタルピを処理しなければならない」と言っていたプロの言葉が浮かんできた。
聞きかじりの生半可な知識しか持っていない者の哀しさ。その言葉に靡いてしまった。

それまでは、カナダの技術屋さんが総力を上げてまとめた「R-2000住宅の教え」に従って、もっぱら顕熱交を採用してきた。
ダーディゾーンから24時間排気することで、確かに室内の空気質が清潔に保たれる。
排気は、トイレは20m3が2ヶ所で40m3。 浴室が40〜50m3。 台所が40〜50m3とすると、これだけで130m3。
40坪の住宅の必要換気量は約165m3。とすると残りの35m3の排気はシューズルーム、ウォークインクロゼット、あるいは犬や猫のトイレ室に当てた。
私は、この排気計画は今でも正しいと確信している。
というのは、カナダのこの計画を上回るだけの研究や理論が発表されていない。もし、カナダ以上の優れた排気システムに対する提案があれば、いつでも採用し、皆さんに積極的に推奨してゆきたいと考えています。

そんな時、一条工務店の仕様書発注で、ダイキンが全熱交で熱回収率90%の「ロスガード90」を開発した。一条はどこまでも換気システムとしてこれを採用。各室への分岐装置を自社開発し、100φのダクトも自分の手で用意していた。ただ、浴室などは24時間排気ではなく局所間欠運転。これだとどうしても換気計画は絵に書いたようにはならない。ただ、一条は浴室、トイレ、廊下に至るまで全て床暖房しており、24時間排気がなくても冬期にヒートショック問題を起こす心配はない。
私は一条の換気システムには魅力を感じなかった。カナダの原則を守っていないから・・・。
ただ、ダイキンの90%熱回収出来る全熱交 (ダイキンではベンティエールと呼称) の実力を試してみたかった。
そこで、ダイキンから一条へ話をつけてもらい、どこまでも「セントラル空調換気システム」の一貫としてこの全熱交を採用し、その実績データは一条にも公開するという条件で3台ばかり提供してもらった。

全熱交の採用では、問題なる大きな点が2つあった。
1つは全熱交のエレメント。これは和紙系統で、浴室などから排気される湿度には弱いという懸念。このため、工場の技術屋さんはガンとして反対する。
たしかに浴室の排気をそのままダイレクトにエレメントに送ると問題が起こる可能性がある。
しかし、浴室からの排気は40m3。全体の165m3の排気の24%に過ぎない。全部の排気量を混ぜてエレメントへ送れば、工場での机上計算で心配していることは避けられるのではないか。
しかも、24時間連続機械運転が建築基準法で義務付けられている。一時的にエレメントに湿気が当たっても、直ぐ乾いて問題を起こすことはほとんど考えられないのでは・・・。

もう1つは、潜熱まで交換するので匂いや細菌が導入される新鮮空気に移転する怖れ。
これについては、ダイキンエアテクノ東京からの提案で、熱交換に入る直前の戻りダクトの中に光触媒を介入させた。
この結果、設置してから丸3年以上経過しているが、セントラル空調換気システムにあっては、カナダの給排気計画に基づいて光触媒を介入させた全熱交システムは、見事に機能している。
一番問題だった匂いについては、全く問題がない。
ダイキンには、「匂いのソムリエ」 が4人いる。
しかし、ソムリエを煩わすほどのクレームは一度も発生していない。匂いの移転がない以上は、細菌の移転についても心配がないということ。
また、エレメントの状態も現時点では問題がない。これがどこまで続くかは経験値がないので確言は出来ないが、あまり心配することはないらしい。

そして、2008年の2月19日に名古屋のTさんをS邸に案内している。
そして、Tさんは08年3月10日付の「住まい心地 2」で貴重な意見を寄せている。
そのことを、すっかり失念していた。
読み返してみて、冬期のS邸に対するTさんの理解力の深さに改めて感動した。
S邸の住まい心地について、私は完全に傍観していたわけではなかった。
ただ、それ以降に起こった問題に対するホローがなかった。
そのいくつかを、「生活体験」 という形で、数回に分けて記載したい。

最初に起こった大問題は 夏期の除湿。
今までの記述で、顕熱交から全熱交への転換は、条件設定さえ間違わない限り可能だとうことが分かってきた。
しかし、「全熱交にすると夏期の除湿処理がうまくゆくのではないか」 という期待はものの見事に裏切られた。
冬期は全熱交にしたことで若干効果があるが、夏期は全くと言ってよいほど効果がないことが分かってきた。
必要なことは、夏の顕熱の熱交換ではない。 湿度の排出 !!
つまり、室内の湿度を如何に外部に排出し、室内の湿度を低くするかが問題。

夏期の除湿には全熱交はほとんど役に立たないことが、S邸でもY.S邸でも判明した。
具体的には、室内の設定温度を25℃にしないと湿度が多すぎて快適ではない。
何度も指摘していることだが、人々は温度が26℃を突破した時点で、初めて湿度の存在を感じる。 
蒸し暑さを感じる。
相対湿度が問題になるのは、室温が26℃を超えた時。したがって、相対湿度を感じなくさせるには室温を25℃に設定しなくてはならない。S邸でもY.S邸でも、こんな状態で全熱交の最初の夏を迎えてしまった。
当然のこととして冷房運転時間が長くなるし、全体に冷え過ぎて不快で身体によくない。
特に女性にとっては25℃の温度は、快適どころか苦痛。
S邸では、当初の除加湿システムでの快適さを実感していたから、我慢の限界を超えるものだった。

全熱交の夏期の潜熱の熱交換機能を過信した天罰が下された。
全熱交だから、排熱ドライ機能を持った空調機は不要と考えていた私とダイキンエアテクノと専門工事業者の脇の甘さ。
これはとんでもない間違い。
だが、新しいことにトライする度に起こるトライ&エラーの1つとして許してもらうしかない。
このため、2008年の8月には、S邸、Y.S邸とも空調機をアメニティビルトインに交換する作業を急遽行った。
そして、やっと27℃での生活が得られた。
しかし、28℃以上での快適生活は、全熱交換機では得られていない。

私が、「全熱交よ さようなら」 と叫んだのは、この夏期の失敗からの猛反省の言葉。
冬期に関しては、全熱交はそれなりの効果がある。
しかし、トイレや浴室からの24時間排気をしない全熱交は、実質的な熱回収率は低く、換気計画がメチャクチャ。
これなら、顕熱交の方がはるかに優れていると、現時点で断言したい。


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2008年03月27日

掃出窓直下のタイルへの断熱 (断熱11)


掃き出し窓の直下の床の温度は、床材がウッドフロアー、カーペット、タイルにかかわらず、中央部に比べて2〜3℃低いという事実を前に書きました。
そして、めったに窓下へ行かないので、実生活ではそれほど問題はありません。

しかし、厚いウッドフロアーとタイルの上面を揃えるため、タイルに団子状の接着剤をつけ、タイルの下に空気層が出来ました。
このため、窓際の空気が対流を起こし、タイルの表面は暖かいけれどもタイルの底が冷えるという現象が起きてしまいました。
たしかに、タイルは熱伝導率がよい。
したがってウッドやカーペットよりは掃き出し窓下の低い温度帯がやや広いのはやむを得ません。
しかし、空気の対流によりタイルの裏が冷えるというのは想定外。
そこで、対流を防ぐ工事を行いました。

なにしろ、この時期なのにマイスターは多忙すぎ。
今月の引き渡しが8棟というので手が回らず、遅れての工事となりました。


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まず、タイルを剥がす。
これが大変な手間。貼るのに比べて数倍以上の時間がかかる。
そして、強力な掃除機で砕いたタイルの粉を吸い取る。

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長いストローをつけて、タイルの奥まで断熱材を注入充填。

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注入が終わると乾燥するのを待つ。

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乾燥した断熱材を切り取り、コーキングして空気の対流をとめる。
そして、新しいタイルを施工する。

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なお、S邸では相対湿度を1%単位で増減出来ます。
したがって、サッシのガラスの下部に結露すると、結露しない範囲まで相対湿度を落として調節が出来る。
しかし、ペアーガラスのLow-Eで、内側にハニカムサーモを使った場合は、ガラスの下部にどうしても結露が生じます。
それを防ぐためにH邸では伸縮タイプの窓下専用ウィンドラジエーターを設置していました。
結露する朝方に合わせてタイマーをセット。
ハニカムサーモなどを使う場合には、これは大いに役に立つ。
ともかく、ラジエーターを固定しないのがいい。
H氏に感謝しながら紹介させていただきます。 
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2008年03月10日

S邸を訪問しての感想 (住まい心地2)


中部地域のTさん。自動車関連企業に勤める技術屋さん。
地場のビルダーさんに依頼して、数年来暖めてきた新居の建設に間もなくとりかかります。
その前に、どうしてもS邸を訪問し、そのシステムの細部を確認するとともに快適性を確認しておきたかった。
自宅でもセントラル空調換気システムを導入する計画で、実際の温熱と気流がもたらす住み心地を体験するとともに、空調設備のポイントを確かめておきたかった。
そして、2月末日にS邸を訪問。
このほど、その感想文が寄せられたので紹介します。

         ◇  ◇  ◇

訪れた2月末日の日は、あいにくコートが不要なほどの陽気。
Q値が0.9Wの性能をたしかめるには、少し残念な気温。

新居は新築住宅にありがちな臭いがまったくありません。
もちろん日常的な生活臭も・・・。
全熱交換機ということで臭いを意識していました。
加湿によって相対湿度が40%に維持されていると、潤った空気は臭いも運び易い。
しかし、空気はどこまでもニュートラル。
光触媒が十分に機能しているということと、建築素材そのものが十分に吟味されているということが判りました。

このニュートラルな空気は、90%の熱回収能力を持つ全熱交換機+光触媒のセントラル空調換気システムが作りだしています。
私が考えている現時点での理想の姿がそこにありました。
小屋裏に設置されたシステムの心臓部。
ブログでその大きさは十分に伺えたのですが、実物を目にすると圧倒されます。
ダクトを含めると6帖ほどの空間を占めています。
単に空調換気の設備だけではありません。
加湿器や分岐ユニットの加工と精度の高い施工。そしてメンテナンス。
これらを完全にこなせる業者は東京でもほとんど居ないそうですが、設備機器も含めてもう少しハードルが低ければ、手軽に採用出来るのに・・・と思うのは私だけではないはず。

セントラル空調から各部屋への給気は、開口部(窓)の対面の壁の、天井面近くに設置されたガラリから、開口部へ向かって横向きに吹き出されています。
このため、空気の流れとかドラフトは全くといっていいほど感じません。
1階に一部屋だけ、天井を下げた特殊な部屋があり、開口部際で天井面から直下に吹き出しているガラリがありました。
ここではさすがに気流を感じました。
それだけに、横吹き出し効果の抜群の良さがわかり、これだと夏の冷気に悩まされることはないだろうと納得しました。
そして、しっかりとした断熱と気密でガードされているので、空気は天井→窓→床→廊下→洗面・トイレ・浴室→機械室へと緩やかに流れ、部屋の隅々までほぼ均一に暖冷房がなされていることがレーザー温度計でつぶさに実感することが出来ました。

部屋の天井面と床面で、ほとんど温度差がありませんでした。
弱点は、予想どおり窓。
スぺーシアを使ったK値が1.28Wのガラスでも、外気が低くなってきますと壁面との温度差が数℃生じます。これをドイツのように3℃以下にすべきだというのは大変なこと。
とくにガラスよりも枠の方の性能が問題になるということを、改めて再確認いたしました。

腰壁のある中窓であれば、窓部の温度低下によるコールドドラフトはほとんど感じたことはないという奥さんの感想。しかし、掃き出し窓の場合は、床の温度が部屋の中央部に比べて窓下では2〜3℃低いことを確認しました。
また、相対湿度を50%に設定すると、窓の下部隅に結露が発生するとのこと。
壁と開口部では熱損失の桁が一桁違うことのジレンマを痛感させられました。

地下室及び1階のトイレ、洗面、浴室も快適そのもの。
しかし、2階に関しては途中で外部のバルコニー空間を浴室の内部空間にとり入れるという設計変更があり、これが空調設計に反映されなかったため、完成後2階の大きなユーテリティ空間の空調計画を変更したとのこと。したがって温度分布に若干のムラを感じました。
また、2階の北側の子供室は勾配天井になっており、採光をとるためにトップライトが採用されていた。このため、勾配天井の天井面の温度が若干高いと感じました。

「快適」ということの内容と価値。
これは人によっていろいろ違うと思います。
S邸の極めて少ない温度ムラとドラフトを感じさせない気流。さらにはニュートラルな空気質。
これこそが、わが家が目指すものであり、その方向が間違っていなかったということが「確信」できました。
本当に有難うございました。

最後に奥さんが「この家は掃除にしても洗濯にしても寝具の乾燥にしても、また病気に罹らないという面からも、とても主婦に親切な住宅です」と話して下さいました。
もし女房を連れてゆけば、女性の目からみた数多くの「快適性」を発見したことでしょう。
男の私には、その快適さの追求が極度に不足していたのが残念です。
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2008年01月31日

空気が違う (住まい心地1)



S邸は実験棟的な側面があり、1月一杯は部分的な手直し作業がすすめられています。
したがって、Sさんご夫妻のご感想は、2月の末頃にまとめてお聞きしたいと考えています。


いままで、工事に関係した何人かが、完成したS邸に伺っています。
北海道で長年、高気密高断熱住宅の設備機器の開発に携わってきたXさん。
家へ入るなり「空気が違う」と叫びました。
いままで、仕事柄多くの新居を訪ねています。
「どの家にも、いわゆる新築の匂いがした。その匂いには良い面もあるが、必ずしもいい匂いだけとは限らない。しかし、S邸は新居で、無垢のウッドがふんだんに使われているのに、ほぼ匂いがない。空気がとても透明で、しかも乾燥しておらず、しっとりとしていて軟らかい。こんな家は、初めての経験です」と痛く感激。

ダイキンテクノ東京のY役員さんは、つくづく言いました。
「当社のトップを、この家に案内しなければならない。本物の住宅の空調換気の素晴らしさを業界の人間が判っていない。したがって、新しいシステムづくりの方向が確認出来ないでいる。なんとしてでも、トップを連れてきたい」と。

現時点での訪問者の感想です。
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2008年01月26日

全館の温度差 (各種の測定1)


S邸が完成してから3度にわたって全館の温度測定を行った。
測定はレザー光・非接触温度計による65ヶ所の天井面と床面。

最初は設計風量に基づいて設定された条件で、22℃の設定温度時に測定。
この時、机上の設計風量では温度差が大きいことが判明。
そこで、風量調整をした。

そして2度目の測定。
それでも、給気と排気のバランスが悪く、一部の部屋の温度が相対的に低くなり、温度差が生じた。そこで昨日、一部のダクトを変更した。
そして、今日3度目の測定。


測定の結果、いくつかの面白いことが判った。
まず、K値が1.27Wと、国産サッシでは最高級のサッシを使ったが、外気温度が7℃の時にガラスの内表面温度は20℃。
これに対してPVCサッシの縦框の内表面温度は18℃。下部の框にいたっては17℃。
やはりサッシの框や枠に弱点があることが歴然と・・・・。
断熱材を充填したPVCでこれだから、アル・プラだったらもっと低い数値になろう。

その結果、どんなことが起こったかというと、掃き出し窓の直下の床は、カーペット、ウッドフロア、タイルに関係なく19℃という数値になった。
コールドドラフト現象を絵に描いたような数値。

つまり、温熱環境のことを考えると、掃き出し窓は住宅に大きな負荷を与える存在だと言うこと。
40センチ離れた床との温度差が3℃以上もある。
この発見には、嬉しくなった。
工夫をこらす方法が判ってきたから。

そして、温度測定をしていると、空調機が運転している時と停止している時とでは天井、床面ともに1℃の温度の差が生じる。
したがって、1人で測定したのでは正確ではない。
運転しているか否かを聞きながら測定しないと、出てくる数値が違ってくる。

さらに、太陽の光が差し込むと、南面の温度は冬期でも天井面で1℃以上、掃き出しの床面だと5℃以上高くなることがあるから、注意して測定しないと変な数字に迷わされる。

さて、そうした諸条件を考慮して、掃き出し窓直下の床を別にすれば、S邸の場合は地下から小屋裏までの天井と床の温度がほぼ22℃から24℃の間に収斂している。
つまり、部屋の隅の床の一番低い温度と一番高い勾配天井との温度差が2℃の中に収まっている。
部屋の中央の、床上1メートルの温度差ではない。
4層の中の一番低い床と一番高い天井との温度差であることを強調したい。

もちろん、外気温度がマイナス0℃以下になった場合は、2℃では済むまい。
太陽が出れば4℃以上にもなる。
しかし、今朝の東京の外気温度は4℃程度だったと思う。
Q値が0.9Wの住宅は、東京で今まで考えられなかった芸当が出来ることを実証してくれた。

お断りしておく。
寝室は、他の部屋よりも2℃ほど温度が低くあるべきだという意見がある。
ごもっともで、それに応えることはいたって簡単。
とりあえず東京で、ほとんど温度差のない空間を創出できるイノベーションが確立したことを、素直に喜びたいと思う。
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2008年01月24日

完成 (空調換気11)


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最後に残った仕事はデーターをとるためのメーターの取り付け。
空調の室外機とエコキュートに取り付ける。

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換気は2台まとめて1つのメーターに。

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これから一年に亘って、その記録取りを施主に依頼する。

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かくて、全工事が完了。
接道の40%以上が緑化。

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冬期の植栽で枯れ葉でしかないが、春の新芽が萌えだすと、景観が一転するだろう。
それにしても日本の風景をぶち壊している電線・・・。



ご案内のとおり、S邸はQ値が0.7Wのパッシブハウスとして計画した。
しかし、準防火地域ということもあって性能の良いサッシが得られず、0.9Wという残念な数値になってしまった。
これでは、とてもじゃないがパッシブハウスと称することは出来ない。
看板に大きな偽りがあったことを、重ねてお詫びしたい。
パッシブハウスという以上は、最低でもQ値が0.7W以下でなければならず、出来たら0.5W
以下であるべき。
まして無暖房住宅と呼称したいなら0.3W以下であるべき。
したがって、日本の全てのビルダーが呼称している無暖房住宅は「その志は良し」とするが、すべてが羊頭狗肉と言わざるを得ない。
現在の日本のサッシ業界の実態からして、0.5W以下は到底達成が不可能。
それなのに、消費者を紛らわす偽善行為と言われても、弁解が出来ない。
お互いに消費者の視点に立って、もっと謙虚になるべきだと思う。

このブログを書きだしたのが昨年の5月11日。
延べ148回、8ヶ月半にも及ぶ長期の連載で、615MBも消化するボリュームとなろうとは考えてもいなかった。
工事が始まったら面白い発見があって「やめられない。とまらない」
施主のSさんご夫妻とマイスターハウスの山口社長をはじめ社員並びに各専門職各位の厚いご支援とご協力があったからこそここまで可能になった。心から感謝。
そして、全国のビルダー仲間をはじめ多くの方から励ましのメールや言葉を頂いたことにも深謝。

S邸の現場で行われていたことが全て正しいと言うつもりは毛頭ない。
皆さんもお気づきのとおり、いろいろ問題がある。
しかし、貴重な施工ノウハウをオープンにしてもらったことは、1つの優れた共通の叩き台が用意されたということ。その意義は非常に大きい。
オープンな場で切磋琢磨してゆく。
その有意義な場をマイスターから提供頂いた。

また、このブログは、後1年はこのままにしておいて、月に1、2度データー情報などを掲載してゆく予定。

なお、完成したS邸を見たいという方で以下の条件に該当なさる方は、2月下旬以降であればSさんの内諾を頂いているので、申しつけ下さい。
(1) マイスターの施主ならびに見込み客の方は、Sさんご夫妻が群馬の多くの現場を見せて頂いたお礼を兼ね、山口社長や一場さんに伝えてもらえば無条件で優先的に対応させていただく。
(2) 全国のビルダー、設計事務所、大学や研究機関などの方は、鵜野に伝えてもらえば喜んで対応。
(3) パッシブハウスかそれに準じる計画を持っている消費者の方で、計画や情報をオープンに交換していただける方にかぎり、鵜野が窓口になり都度対応させていただく。
                                  以上
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2008年01月22日

マスのある風景 (エクステリア5)


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正面玄関に併行して、勝手口の塀工事も進む。
砕石を固め、配筋してコンクリートを打ち、ブロックを積み上げる。

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そして、北側は空調やエコキュートなどの室外機が置かれるので、広い犬走りの部分にコンクリートが打たれる。

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最後のクリーニングの前の写真で、コンクリートに土足の跡があり、汚れているのはご勘弁頂きたい。
私が、マイスターの工事の中で私が一番感動させられているのはこのマスの見える風景。
暑い初夏の炎天下。
水道屋さんが、必死になってミリ単位の誤差もなく、マスをとりつけていた。
なんでそこまでこだわる必要があるのか。
いつも、そんな思いにとらわれる。
しかし、こうしてコンクリートが打たれると、その水平精度の美しさに感動を覚える。
私の所属していた会社では、とてもじゃないがここまでの精度は出せなかった。
「負けた」という気持を、もっとも強く抱かせてくれた風景。


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植栽も終わり、ビジター用の駐車場を兼ねた勝手口が完成。

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2008年01月20日

門塀 (エクステリア4)


昔の旧家は、周囲を塀で囲むことが多かった。
この塀は都市空間を閉鎖的にする。
と同時に、空き巣が外界から身を守る隠れ蓑にもなっていた。
それを打開し、都市としての緑をふやし、少しでも美化を進めるために、杉並では区条例で「接道する敷地の40%以上を緑化しなさい」という義務を設けた。
遅きに失したが、これは素晴らしい条例だと思う。
欧米のように、全く塀のない住宅地まではゆかないが、緑を共有してゆこうという発想は大切なことだと思う。


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このため、S邸の門塀は、玄関回りと車庫、それに勝手口の狭い部分だけ。
まず、車庫前のシャッターを格納する門柱の部分の基礎工事。
砕石が突き固められ、鉄筋が配され、コンクリートが打たれる。

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門柱は木造。フレーマーが簡単に組み上げた。
そして、車庫床に配筋がなされる。

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玄関の門塀は鉄筋入りのブロック。
アプローチのモルタル下地。

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車庫のタイル貼りは住宅と同様に乾式。

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これに対してブロックのタイル貼りはお馴染みの湿式。

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2008年01月18日

乱形石 (エクステリア 3)


ひと頃は、玄関からポーチにかけて南欧風のテラコッタが大流行した。
しかし、今は乱形石のポーチやアプローチが多くなった。
この乱形石にはキャメルイエローとかグリーンとかいろんな色が用意されているが、S邸では無難なソルンフォーヘンが選ばれた。


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天然石張りの開始。
長尺の定規で水平を測って取り付けてゆく。

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この乱形石の面白さは、その変幻自在な形の集合体という点にある。
天然の石そのままうまく組み合わさり、偶然にも並んだという感じがいい。
しかし、石と石との間隔が不揃いだったり、広すぎたりすると、とたんに嫌になる。
いかにもやっつけ仕事に見える。
その点、この施工はなかなかのもの。

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勝手口の出入りを兼ねたビジター用の駐車場。
鉄筋が組まれ、コンクリートが打たれる。

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そして、排水桝を気づかせないフラットな仕事。

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ダイニング脇のアールのついたポーチ。

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posted by x-unoblog at 04:44| Comment(0) | TrackBack(0) | エクステリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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